ドイツの若者、21%が国外移住を計画 極右台頭への懸念も
ドイツ・ベルリン・ブランデンブルク空港のターミナル(2023年5月)|Darren Baker / Shutterstock.com
ドイツの若者を対象にした調査で、約21%が国外への移住を計画していることが分かった。経済的・政治的な不安が背景にあり、経済停滞や政治的分極化への懸念が、若者の国外志向を強めている実態が浮き彫りとなった。
◆経済に不安… 若者の目は国外へ
この調査は、ドイツで長年にわたって実施されている「Jugend in Deutschland(ドイツの若者)」の最新版。14歳から29歳の回答者2012人を対象に実施され、21%が「より良い生活を求めてドイツを離れることを積極的に計画している」と回答し、さらに41%が「長期的には海外移住も考えられる」と答えていた。
ドイツの国際公共放送ドイチェ・ウェレ(DW)によれば、海外移住への意欲が高まっている要因として、過去2年にわたり停滞しているドイツ経済への懸念があげられている。回答者たちは、住宅費の高騰、AIの台頭によるキャリアの見通しの暗さ、そして増大する経済的負担が、自立を困難にしていると語ったという。
調査責任者のサイモン・シュネッツァー氏は、調査結果はここ数年のプレッシャーがストレスや疲労、将来への展望の欠如という形で、どれほど若者に影響を与えているかを明確に示したものだと述べている(DW)。
◆極右台頭を懸念 マイノリティにはより生きづらく…
政治的要因も、若者が海外に目を向けるきっかけとなっている。ドイツでは、国内の政治情勢が左右二極化しつつあり、特に極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭を多くの若者が懸念しているという。フンボルト大学の修士課程に在籍する若者は、AfDの存在感が高まる中、フリードリヒ・メルツ首相や連立パートナーが右派有権者に配慮する動きを見せていることに不安を感じていると、DWに語った。
国外移住したいという希望は、特に人種的少数派や何らかの形でマイノリティに属する人々の間で特に高いという。文化関連や民主主義に関わる仕事が多く削減され、ファシズムが台頭していると前出の学生は指摘している。
◆記録的人材不足 一部流出でも大打撃
そもそも欧州最大の経済大国であるドイツには強固な産業基盤があり、職人や大卒向けの初級職が豊富にあったため、若い労働力の大量流出が問題化したことはなかった。
ところが、現在はドイツ政府が熟練移民の誘致を急ぐほど、記録的な労働力不足と高齢化が進行中で、国内の人材プールのごく一部が流出するだけでも、将来の人材需要を満たすことは難しくなると、使用者団体BDIは警告しているという(オンライン・ビザ・サービスサイト『ビザHQ』)。
ちなみに、DWが引用する統計では、ドイツの若者の主な移住先はスイスが首位で、次いでオーストリアとされている。一方、ビザHQによれば、文化的な親近性や生活水準の高さからオーストリアやスイスが引き続き人気であるほか、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の専門性を持つ若者の間では、日本やカナダも移住先として関心を集めているという。




