イーロン・マスク、ビル・ゲイツ… エプスタイン文書に名を連ねる有力者たち
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テック界の巨頭からウォール街の有力者、外国の要人に至るまで、ジェフリー・エプスタインに関するアメリカ司法省の調査に関連して公開された膨大な資料には、権力者たちの名が連なっている。
リストに名を連ねる全員が、少女や若い女性に対するエプスタインの性的虐待への関与を否定している。しかし、エプスタインが少女への虐待疑惑で広く知られるようになった後も、エプスタインとの友好的な関係を維持、あるいは新たに築いた者たちがいた。
この調査に関連して罪に問われた者は一人もいない。エプスタインは2019年、米ニューヨークのマンハッタンの拘置所で自ら命を絶った。
以下は、エプスタイン文書に登場する主な人物の概要である。
◆アンドルー・マウントバッテン・ウィンザー
かつてイギリスのアンドルー王子として知られたこの人物は、エプスタインとの関係について長年追及を受けてきた。これには、亡くなったバージニア・ロバーツ・ジュフリーによる、自分はエプスタインによって人身売買され、17歳の時にマウントバッテン・ウィンザーと性交渉を持つよう指示されたという主張も含まれている。
元王子はそれが起きたことを繰り返し否定しているが、兄であるチャールズ3世は昨年、王子としての呼称やヨーク公を含む王室の称号を剥奪した。
マウントバッテン・ウィンザーの名前は、エプスタインの私的なメールを含め、1月31日に公開された文書の中に少なくとも数百回登場する。
やり取りの中には、エプスタインをバッキンガム宮殿での夕食に招待するものや、エプスタインが26歳のロシア人女性をマウントバッテン・ウィンザーに紹介しようとする提案、そして、床に横たわる正体不明の女性の上にマウントバッテン・ウィンザーが膝をついているように見える写真などが含まれている。
◆セーラ・ファーガソン
2011年3月、当時ヨーク公爵夫人だったセーラ・ファーガソンは、自身の借金の一部をジェフリー・エプスタインに肩代わりさせたことについて公に謝罪した。ファーガソンと元夫のアンドルー元王子の二人は、エプスタインが未成年の少女に対する売春勧誘で有罪を認めた後も、エプスタインと友好的な関係を続けていたことで、世間から激しい批判を浴びていた。
ファーガソンはロンドンのイブニング・スタンダード紙に対し、「今後二度とジェフリー・エプスタインとは関わらない」と語った。しかし、そのわずか2ヶ月後、ファーガソンはエプスタインに対し、オプラ・ウィンフリーのテレビ番組に出演する予定であり、自分たちの関係についての質問にどう答えるべきか助言が欲しいというメールを送っていた。
「私はただ、あなたがこのことを承知しているか確認したかった。そして、私にどのように答えてほしいか、あなたの助言を求めたい」とファーガソンは記している。
エプスタインは「ジェフリーはタブロイド紙によって不当に小児性愛者というレッテルを貼られた。何年も前、ジェフリーは未成年の売春勧誘で有罪を認めた。彼は社会への償いを済ませ、許しを求めている。私からはこれ以上言うことはない」と返信した。
◆イーロン・マスク
テスラの創業者である億万長者のマスクは、1月31日に公開された文書に少なくとも数回登場する。特に2012年と2013年のメールのやり取りでは、悪名高いエプスタインのカリブ海の島にある別荘への訪問について話し合っている。
しかし、実際に島への訪問が行われたかどうかは、現時点では定かではない。マスクが経営するテスラとXの広報担当者は、1月31日と2月1日のコメントを求めるメールに回答しなかった。
マスクは、この悪名高い金融家からの誘いを繰り返し断ってきたと主張している。「エプスタインは私を島に呼ぼうとしたが、私は拒否した」と、2025年にXへ投稿した。
◆リチャード・ブランソン
世界的コングロマリット、ヴァージン・グループの創業者である億万長者のブランソンは、エプスタインと多数のメールを交わしていた。
2013年のやり取りの中で、ブランソンはエプスタインを、自身がカリブ海に所有する島へと招待している。その島では、大規模な会議やチャリティイベント、ビジネスミーティングが定期的に開催されていた。
「この近くに来ることがあれば、いつでもぜひ会いたい。君のハーレムを連れてくるならね!」とブランソンは記している。
同年、別のメッセージでブランソンは、マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツを説得し、エプスタインがいかに「自分にとって素晴らしいアドバイザーであったか」、そして「十分に教訓を得ており、それ以降法律に触れることは一切していない」ということを公に話してもらうことで、エプスタインのイメージを回復させるよう提案した。
ヴァージン・グループは1日の声明で、ブランソン側に不正行為はなく、エプスタインとの取引は10年以上前の「グループやビジネスの場」に限定されていたと強調した。
また同社によると、ブランソンは寄付を断り、チームが「重大な疑惑」を発見した後は、エプスタインと二度と会ったり話したりしないことを決めたという。「もし全容や情報が把握されていれば、接触は一切なかっただろう。リチャードは、エプスタインの行動は忌まわしいものであり、多くの被害者のための正義を求める権利を支持している」と声明には記されている。
◆ドナルド・トランプ
トランプとエプスタインが絶交する前は友人同士であったことは、以前から知られている。
新たに公開された資料にはトランプに関する言及が数千件含まれているが、その多くは二人の関係について新たな事実をほとんど明らかにするものではない。それらには、エプスタインらがトランプに関するニュース記事を共有したり、トランプの政策や政治についてコメントしたり、トランプやその家族について噂話をしたりするメールが含まれていた。
司法省はまた、昨年8月に作成された、トランプによる不正行為を知っていると主張する人々から法執行機関の通報ラインに寄せられた電話の内容をまとめたスプレッドシートを公開資料に含めた。
その文書には、多くの異なる著名人が関わる裏付けのない話や、やや空想的な内容が含まれており、捜査官がどのような追跡調査を行ったかを示すメモが付されていたりした。
トッド・ブランチ司法副長官は2日、アメリカ連邦捜査局(FBI)が著名人に関する「数百件の通報」を受けたものの、それらは「信憑性がないと即座に判断された」と述べた。
◆ビル・クリントン
トランプと同様に、クリントンも20年以上前にエプスタインと時間を共にしており、エプスタインの自家用機に時折同乗したり、ホワイトハウスで面会したりしていた。クリントンもまた、エプスタインの不正行為については一切関知していないと否定している。
クリントンの代理人は、2006年に最初の刑事訴追が行われた後、元大統領はエプスタインとの関係を断ったとしている。
捜査ファイルには、エプスタインがニューヨークの自宅に保管していたクリントンや他の有名人のスナップ写真が含まれている。また、一般市民から、なぜクリントンが捜査されないのかを問い詰めるメッセージも収められている。エプスタインの被害者の中に、クリントンがエプスタインの犯罪に関与したと公に告発した者はいない。
◆スティーブン・ティッシュ
NFL(米プロフットボール)のニューヨーク・ジャイアンツの共同オーナーであるティッシュの名前は、1月31日に公開されたファイルに400回以上登場する。二人のやり取りからは、エプスタインが長年にわたり、ティッシュに多数の女性を紹介しようとしていたことがわかる。
2013年の「ウクライナ人の女の子」という件名のメールのやり取りの中で、エプスタインはある女性への連絡を促し、その女性の容姿を卑猥(ひわい)な言葉で称賛した。それに対しティッシュは、「プロか、一般人か?」と聞き返している。
ローレンス・ティッシュが創業したロウズ・コーポレーションの流れを汲む、ニューヨークの有力一族の出身であるティッシュは、エプスタインとの面識は認めているが、悪名高いカリブ海の島に行ったことは否定している。
「私たちは短い付き合いがあり、大人の女性についてのメールを交わしたほか、映画や慈善活動、投資について話し合った」と、1994年に『フォレスト・ガンプ』の製作でアカデミー賞を受賞したティッシュは語った。「今となっては周知の通り、彼は恐ろしい人物であり、関わりを持ったことを深く後悔している」
◆ブレット・ラトナー
最近公開されたメラニア・トランプのドキュメンタリーを制作した映画監督のラトナーは、政府の資料に含まれる数枚の写真に写っている。
12月に初めて公開された写真の1枚には、2022年に強姦罪の公判を待たずに拘置所で自殺したフランス人モデルエージェント、ジャン・リュック・ブルネルの裸の上半身に腕を回している姿が写っている。
より最近の資料には、同じ時期に撮影されたと思われる一連の別の写真がある。それらには、ラトナーがエプスタイン、ブルネル、そして少なくとも2人の若い女性と共にソファに座っている姿が写っている。写真の中で、ラトナーは女性の一人に腕を回しているが、女性たちの顔は黒く塗りつぶされている。
ラトナーと同氏の映画会社の広報担当者は、コメントを求めるメールにすぐには回答しなかった。
◆ケーシー・ワッサーマン
2028年ロサンゼルス夏季五輪委員会の会長であるワッサーマンが、エプスタインの側近ギレーヌ・マックスウェルと思わせぶりなメールを交わしていたことが、1月31日の公開文書で示された。
2003年のやり取りで、ワッサーマンはマックスウェルに「君のことはいつも考えている。ところで、タイトなレザーの服を着た君に会うにはどうすればいい?」と綴っている。
別のメールでは、マックスウェルが次回の訪問時に十分な霧が出るかどうかを尋ねている。「そうすれば、君がビーチを裸で歩き回っていても、近くに行かない限り誰にも見られないでしょう?」
ワッサーマンは1日に声明を出し、エプスタインとは個人的な関係もビジネス上の関係も一度もなかったと述べ、マックスウェルとのやり取りについては、彼女の恐ろしい犯罪が明るみに出る「ずっと前のこと」であり、後悔しているとした。マックスウェルは現在、人身売買の罪により20年の刑で服役中である。
◆エフド・バラク
イスラエルの元首相とその妻は、1月31日に公開された文書に頻繁に登場し、2008年にエプスタインがフロリダで性犯罪の有罪を認めた後も含め、長年にわたりエプスタインと定期的に連絡を取り合っていたことが示されている。
やり取りの中には、2017年にニューヨークのエプスタイン宅に滞在する計画も含まれている。他の書簡では、エプスタインとの面会や電話、その他の訪問に関する日常的な事務連絡が話し合われている。
バラクはニューヨーク訪問時に定期的にエプスタインを訪ね、エプスタインの自家用機を利用したことは認めているが、不適切な行動やパーティーを目撃したことは一度もないと主張している。バラクは1999年から2001年までイスラエル首相を務め、後に国防相も務めた。
◆ラリー・サマーズ
クリントン政権での財務長官やハーバード大学学長を務めたサマーズも、エプスタインの長年の知人として知られる人物の一人だ。新しい資料には、二人の会合や夕食に関する言及があふれている。
以前公開された文書では、エプスタインが未成年者への性的虐待で起訴された後の2019年に、サマーズがある女性とのやり取りについてエプスタインにメールを送っていた。「君はひどく慎み深い(coy)ね、と彼女に伝えたよ」と書くと、エプスタインは「良い反応だ」と返信した。
サマーズは、エプスタインとの交流を「重大な判断ミスだった」と述べている。
◆ハワード・ラトニック
ドナルド・トランプ大統領の商務長官は、少なくとも一度、家族と共にエプスタインのプライベートアイランドを訪れていたことが、1月31日に公開された記録で示された。
これは、数十年前からエプスタインを「不快な人物」として縁を切ったという過去の主張と矛盾するように見える。
しかしメールによれば、ラトニックと妻は2012年12月に米領バージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島への招待を受け入れ、子供たちと共にヨットで到着する計画を立てていた。
大手不動産会社ニューマークの元会長でもあるラトニックは、2011年にもエプスタインと酒を酌み交わし、互いの自宅の向かいに建設される建物について連絡を取り合っていた。商務省は声明で、ラトニックは「妻の同席のもとでエプスタイン氏と限定的な交流があっただけで、不正行為で告発されたことは一度もない」と述べた。
◆セルゲイ・ブリン
グーグルの共同創設者である億万長者のブリンは、エプスタインが未成年者への性的虐待で公に告発される数年前に、ニューヨークのエプスタインの邸宅でエプスタインやマックスウェルと会う計画を立てていたことが、メールで示されている。
2003年のやり取りで、マックスウェルはニューヨークで開催されるレネー・ゼルウィガー主演の映画『恋は邪魔者』の試写会にブリンを誘っている。
その数週間後、マックスウェルはエプスタインの自宅での「ハッピーでカジュアルな、リラックスした」夕食会にブリンを招待した。ブリンは、当時のグーグル最高経営責任者(CEO)エリック・シュミットを同伴することを提案した。グーグルの広報担当者は、1日のコメントを求めるメールにすぐには回答しなかった。
◆スティーブ・バノン
トランプの元側近であるバノンは、エプスタインと数百通の親密なメッセージを交わしていた。中には、2019年にエプスタインが逮捕され、拘置所で自殺する数ヶ月前のものも含まれている。
二人は政治や旅行、そしてバノンが計画していたとされる、エプスタインの名誉を挽回するためのドキュメンタリーについて話し合っていた。
例えば2018年のやり取りは、当時トランプが連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長を解任しようとしていた問題に焦点を当てていた。2019年のメッセージでは、バノンはローマまで迎えに来てもらうためにエプスタインの飛行機を貸してくれないかと頼んでいる。
また、エプスタインとバノンは、トランプやその政治に関する噂話のメッセージも交わしていた。バノンはコメントを求めるメールに回答していない。
◆ミロスラフ・ライチャーク
スロバキア首相の国家安全保障顧問であったライチャークは、1月31日に公開された文書の中で過去のエプスタインとの通信が明らかになったことを受け、2月1日に辞職した。
野党各党およびフィツォ政権の連立パートナーであるナショナリスト政党が、ライチャークの辞任を求めていた。
元スロバキア外相であり、かつて国連総会議長も務めたライチャークは、いかなる不正行為でも告発されてはいないが、エプスタインが最初に出所してから、2019年に人身売買の罪で再び起訴されるまでの数年間に、エプスタインと面会しているところを写真に撮られていた。
ライチャークは、エプスタインとのやり取りは外交上の公務の一環であったと述べている。
By PHILIP MARCELO and NICHOLAS RICCARDI Associated Press




