通電1日4時間、極寒を耐え凌ぐキーウの人々 「兵士のことを考えれば…」
停電の中、手製の懐中電灯を持つライサ・デルハチョワさん(キーウ、1月13日)|Dan Bashakov / AP Photo
ロシアによる執拗なエネルギー・インフラへの攻撃により、市民がここ数年で最も厳しい冬の寒さにさらされる中、緊急修理チームがキーウ州の電力復旧に全力を挙げている。当局が14日に明らかにした。
キーウ州にある人口約6万人の町ボリスピリでは、作業員らが焼け焦げた電気系統を解体・再構築し、被害の修復を急いでいた。
民間電力会社DTEKのボリスピリ地域部門を率いるユーリ・ブリジ氏は、AP通信に対し、作業員らは氷点下15度の雪の中、早朝から深夜まで働いていると語った。
彼らは1日4時間の電力供給を確保することに成功した。しかし、ブリジ氏によれば、問題は「電力が復旧すると、人々が洗濯や料理、スマートフォンの充電を一斉に行おうとして、家にあるすべての電気機器をオンにすること」だという。これにより、システムが再びダウンしてしまうのだ。
キーウのビタリ・クリチコ市長が、約4年前のロシアによる全面侵攻開始以来「最も長く広範囲な停電」と表現する状況下で、市民の苦難は深刻さを増している。数日間、電気が全く通らない家庭もある。
首都のマンションは凍りつき、外出する人々は骨まで凍みるような寒さに備えて厚着をしている。キーウ全域で地面や屋根は雪に覆われ、歩道脇には雪が積み上がっている。夜になると街は暗闇に包まれ、そびえ立つマンションの窓に明かりが灯ることはない。
キーウの住民たちは、自宅で光も暖房もない生活をどのようにしのいでいるかをAP通信に語った。
科学者であるミハイロさん(39)とハンナさん(43)の夫妻は、5歳の娘マリアちゃんの寝室の温度がマイナス15度まで下がったと話す。安全上の理由から、夫妻は名前のみを明かした。
料理用のガスコンロはあるが、夜は厚手の毛布を何枚も重ねて同じベッドに身を寄せ合う。「家にあるすべての毛布を使わなければなりません」とハンナさんは言う。
マリアちゃんの幼稚園には暖房がないため、夫妻は日中、自家発電機のある自分たちの職場に娘を連れて行く。マンションの壁には今もクリスマスの飾りが掛けられており、時折、彼らが使う懐中電灯の光に照らされていた。
ジナイダ・フルィハさん(76)は、ガスコンロで湯を沸かし、それをボトルに入れてベッドの中に忍ばせているという。彼女は不平を言わない。約1000キロに及ぶ最前線のウクライナ兵たちは、より過酷な状況にあるからだ。
「もちろん大変ですが、塹壕にいる若者たちが今どんな経験をしているかを考えれば、耐えなければなりません」と彼女は語った。「どうしようもありません。これが戦争なのです」
テティアナ・タタレンコさんは、2人の息子が戦場で戦っている。隣のマンションに自爆ドローン「シャヘド」が直撃して以来、ロシアによる夜間の攻撃への恐怖が強まったという。
冷え切ったアパートの中で、日常は止まってしまったかのようだ。「家の中の命が止まってしまった、そんな感覚です」と彼女は話す。
隣人のライサ・デルハチョワさん(89)は物理学者で、一人暮らしをしている。彼女は「この恐ろしい寒さ」の中で時折ピアノを弾く。「生き延びるのが大変なのは言うまでもありません。私たちは第二次世界大戦を生き抜きましたが、今またこの恐ろしい戦争に見舞われているのです」と彼女は語った。
ウクライナの投資会社ドラゴン・キャピタルのエネルギー部門アナリスト、デニス・サクワ氏によれば、ロシアの攻撃は発電所や大規模な変電所を標的にしており、変圧器などの交換設備の調達には数ヶ月かかることもあるという。
「ウクライナには2種類の英雄がいます。それは軍人と、エネルギー部門の労働者です」と彼は語った。
By VASILISA STEPANENKO




