欧州の日本ブームを悪用か 仏で「日本イベント」架空告知、大使館が注意喚起
在フランス日本大使館|Vernerie Yann / Shutterstock.com
在フランス日本大使館が、現在ネット上で告知されている日本文化関連イベントについて、架空のイベントである可能性が高いことを指摘し、注意を喚起した。
◆フランス12の都市で日本イベント?!
大使館は1日、ネット上で「L’Experience Sakura」と題する日本文化行事が2026年4〜9月にフランス12都市で開かれると告知されている件について、関係自治体などに確認したが開催を許可・認知したという回答は得られていないとした。また、最近はスペインや南米で架空イベントのチケット詐欺が起きているとして、入場券購入時は信頼性を十分確かめ、安易に振り込まないよう注意を呼びかけた。
ここにも書かれているように、詐欺チケット問題は今に始まったものではない。架空イベントによる詐欺はその一例だ。
◆架空イベントに偽チケット
2024年4月には、テイラー・スウィフトやアヤ・ナカムラといった大物が出演するというありもしない音楽フェスのチケットがネット上で出回る事件があった。1日券は315ユーロ(約5万7000円)、3日券は950ユーロ(約17万円)という高額チケットだ。(アクチュ・ボルドー)
つい最近も、人気ラッパーJulが、インスタグラム上でファンに向かい、偽のチケット販売サイトに注意するよう呼びかけたところだ。それによれば、実際にはまだ日程も決まっていない2026年夏のライブチケットを販売するという偽サイトが複数確認されたのだという。(フランス3)
◆サーバー攻撃と組み合わせた誘導も
実際に開催されるイベントの偽チケット販売も横行している。偽サイトに誘導する手口のひとつとして、チケット発売開始に合わせて公式サイトに大量のアクセスを行うことでこれをダウンさせるというものがある。今年5月10日にフランス・スタジアムで行われたDJスネークのコンサートでは、それと知らずに偽チケットをつかまされたファン数百人が入場を拒否される事態となった。(TF1)
音楽関連だけでなくスポーツイベントも詐欺に使われることが多い。今年4月、スペインで摘発された偽造チケット販売詐欺グループは、過去2年、SNSやクラシファイド広告などでコンサートやフェスティバルのほか、サッカーの試合のチケット販売に見せかけてお金をだまし取っていた。個別の被害額が少ないため、多くの被害者は被害届を出していないが、これまでに確認された被害総額は約2万ユーロ(約360万円)だという。(エキノックス)
◆架空の日本イベントの中身は?
今回架空のものと名指しされたイベントは、その「公式」サイトによれば、フランス全国12の都市(パリ、リヨン、マルセイユ、トゥールーズ、ボルドー、ニース、ナント、リル、ストラスブール、モンペリエ、レンヌ、ルーアン)で開かれる大掛かりなものだ。
イベントの内容としては、日本食、伝統文化、ポップカルチャー、武術、VRによる日本体験、日本関連商品販売、インスタ映えする撮影スポットを7つの柱とするものだと書かれているが、有名アーティストの名も、人気漫画家の名も挙がっていない。
同サイトでは、チケットを一人58ユーロ(約1万円)とし、先着500人は34.95ユーロ(約6300円)に割り引くとうたっていた。ちなみに、サイトは2日までは閲覧できたが、 3日時点でネット上から消えていた。
見方を変えれば、欧州での「日本」ブランドの人気は、詐欺事件に利用されるほどにますます高まっているともいえる。




