髪を剃る女性たち、手にした自己肯定・自由・連帯 海外で広がるムーブメント

アイシャ・スマオロさん|Matt Rourke / AP Photo

 「スキンヘッドはセクシー。それは態度であり、贅沢であり、ライフスタイル」

 これは、14年前に自らの意思で頭を剃ったブレナン・ネバダ・ジョンソンが、昨年11月に立ち上げたビデオポッドキャストの冒頭で語った言葉だ。彼女はこの番組で、スキンヘッドを選ぶことの利点を称賛している。

 「艶やかで、自信に満ちていて、魅力的」——これらは、髪を剃った女性に通常当てはめられる形容詞ではない。何世紀にもわたり、多くの文化で長い髪は女性らしさ、健康、そして豊饒の象徴と見なされてきた。しかし今、この伝統的な美の基準に逆らい、頭をあらわにすることで力を得ている女性が増えている。

 34歳のジョンソンは言う。「一度やってしまえば、人生にとてつもない自信が生まれるわ。かつらをつけずにスキンヘッドのままの人を見かけたら、彼女たちが自分自身を完全に受け入れているということを知って。それは本当に難しいことだと思うから」

 彼女が最初にスキンヘッドにしたのは実用的な理由からだ。大学で競技バレーボールをしていたジョンソンは、コートでの発汗が、頻繁に行っていた高価な縮毛矯正のトリートメントに影響を及ぼすことに気づいたのだ。しかし、剃り始めるとたちまち夢中になった。美容院に行く費用が節約できることにも安心感を覚えた。

 現在ニューヨークでPR会社を経営するジョンソンは、ユーチューブで配信しているビデオポッドキャスト「Bald and Buzzed with Brennan(ブレナンとスキンヘッドとバズカット)」を、スキンヘッドの人々、特に女性を肯定するソーシャルメディアコンテンツの空白を埋める試みとして立ち上げた。彼女は、昔からスキンヘッドはセクシーだと考えていたと言う。

 「これほどファッションステートメントになり、パワフルなルックスになるものはないわ」とジョンソンは語る。

 自らの意思であれ、病気によるものであれ、髪のない他の女性たちも、会議に参加したり、「baldie(スキンヘッドの女性)」グループに加わったり、グルーミングや頭皮ケアのヒントを交換したりして、互いに支え合う方法を模索してきた。

 毎週、頭を剃る様子を「Fresh Cut Friday(フレッシュカット・フライデー)」というビデオシリーズで投稿しているコンテンツクリエイターのダッシュ・ロペスは言う。「私たちはコミュニティ全体でつながっている。話す必要があるのよ。だって、一部の人が「奇妙」だと考えるものの中に、私たちは安らぎや力、そして美しさを見出しているのだから」

◆美の再定義
 ロペスは、幼い頃は家族が自分の長くカーリーな髪を褒めてくれたと言う。友人の何人かは髪の色やスタイルを頻繁に変えていたが、ロペスは同じ自由がないと感じていた。そして、髪をとかしたり、午後いっぱい美容院で過ごしたりするのも好きではなかった。

 18歳になり、許可なしで散髪できるようになった途端、彼女は髪をピクシーカットにばっさり切った。そして、新型コロナウイルスのパンデミック中にすべて剃り落とした。

 29歳のロペスは言う。「スキンヘッドは、人々が非常に重視する物事から自分を切り離すことができるという意味で、私に力を与えてくれる。『ああ、次のカラーリングの予約はいつにしよう。300ドルもかかるわ。このイベントに行く前に髪を整えなきゃ』なんて計画を立てている必要がないのよ」

 ロペスは、ブランドが多様性を重視していた2020年にモデル事務所と契約した。当時、スキンヘッドは彼女の仕事に有利に働いた。

 「個性が評価されていたの。歯に隙間があっても、スキンヘッドでも、顔中にそばかすがあっても、それがキャスティングディレクターが求めているものだったのよ」とロペスは振り返る。

 しかし、昨年になると潮目が変わったのを感じ、モデルの仕事の予約が減った。「正直に言って、モデルの世界では不利な条件が重なっていたわ。私は公称162〜165センチ、そして髪がない」

 あるクライアントは、もっと仕事を得るためにかつらを着用することを提案した。ロペスはそれを望まず、髪を伸ばすこともしなかった。彼女のモデル契約は終了した。それ以来、彼女はインスタグラムやTikTok(ティックトック)でスキンヘッドの女性としての生活を垣間見せており、一部の動画は何百万回も再生されている。

 「私は自分で選択しているという意味で力を感じています。自己の力のために、自己の明確化のために、自分が何を大切にしているのかをより深く理解するために、自分にとっての美しさとは何かをより深く理解するために、これをやっているのよ」とロペスは語る。

◆コミュニティの創設
 多くの女性は、円形脱毛症などの健康上の問題や、がんの化学療法などで髪を失ったとき、美の定義をどうするかに直面する。

 アトランタに住む客室乗務員のフェリシア・フローレスは、2001年に脱毛症(自己免疫疾患)と診断された。6年後にはすべての髪が抜け落ち、当初はかつらを着用していた。

 その後、彼女はフェイスブックで「The Baldie Movement(スキンヘッド・ムーブメント)」というグループに出会った。47歳のフローレスは言う。「グループの女性たちに本当に刺激を受けました。彼女たちは本当に私を励まし、力を与えてくれました。とても自信に満ちていたんです」

 最終的に、失恋をきっかけに2015年にかつらをやめ、スキンヘッドを受け入れることを決意した。「嘘をつくことに疲れていました。何かを隠しているように感じて、自分らしくない気がしたんです」と彼女は言う。

 他の女性たちを励まし、刺激を与えるために、フローレスは年次会議「Baldie Con(スキンヘッド・コン)」を設立した。第4回目となる先月のアトランタでの開催には、ファッションショー、ゲストスピーカー、ジャズブランチ、ブラックタイ・ガラ(晩餐会)などが催され、200人以上が参加した。

◆反応への対処
 平日は看護師、週末は整備士としてフィラデルフィアで働くアイシャ・スマオロは、患者の一部から「奥様(ma’am)」ではなく「旦那様(sir)」と呼ばれることがあるそうだが、彼女は気にしない。「スキンヘッドの女性は、彼らにとっては目新しいんです」

 27歳のスマオロが頭を剃った後、彼女の母親は「髪のない女性を結婚相手にしたい男性はほとんどいないだろう」と話したそうだ。しかし、彼女はそれよりも、外出先で受けた褒め言葉に意識を集中している。「自信を持って着こなしているね」や「顔立ちがゴージャスだね」といった言葉だ。

 毎週日曜日に髪を剃っているスマオロは言う。「スキンヘッドは、どこからともなく自信を湧き上がらせるようなものよ。まるで新しい皮膚、新しい層、新しい個性みたい。生まれ変わったように新鮮に感じるわ」

 彼女はまた、日曜日にハイキングをし、頭皮に当たる冷たい風の感覚を堪能している。「地球とのつながりを感じるのが最高なの。すべてがよりクリアに聞こえる気がする。スキンヘッドだと頭が冴えるような気がするわ」

 アトランタを拠点とするパフォーマーで、アモール・ローレンという芸名で活動しているティファニー・マイケル・トーマスは、母親が膵臓がんの治療を受けている際に連帯を示すために頭を剃った。

 母親の死後も、トーマスは他の女性たちから褒められ続けたため、スキンヘッドを維持することにした。

 37歳のトーマスは言う。「本当にそれを受け入れ始めたら、無敵になったように感じたわ。もう隠すものは何もない。……それは私のすべての不安に向き合うことを強制したの」

 頭を剃ることを考えているのなら、ためらわないで、とトーマスは助言する。女性たちは、頭の形が良くないのではないか、こぶや傷があるのではないかと心配していると彼女に話すそうだ。「考えずにやることよ」と彼女は言う。「恐れながらでもやること。人生のすべてにおいて、恐れながらやればいい。その恐怖を乗り越える最善の方法は、実際にやってみることだから」

By CATHY BUSSEWITZ Associated Press

Text by AP