たんぱく質を摂り過ぎるとどうなるのか?
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著:Margaret Murray(スウィンバーン工科大学、Senior Lecturer, Nutrition)
たんぱく質をめぐる熱狂は衰える気配がない。
ソーシャルメディアには、プロテインシェイクなどのサプリメントを含め、より多くのたんぱく質を摂るよう促す投稿があふれている。食品会社も販売促進のため、商品パッケージにたんぱく質量を目立たせるようになった。
だが、こうした余分なたんぱく質摂取は本当に利益をもたらすのか。そして、過剰に摂ることで健康を損なうことはないのか。
◆たんぱく質は欠かせないが、多くの人は必要量を上回っている
十分なたんぱく質を摂ることは不可欠だ。筋肉組織や酵素、ホルモンの生成に関わり、免疫反応を支える役割も果たす。さらに、体にエネルギーを供給する。
オーストラリア政府が支援する専門家作成の食事指針は、1日のエネルギー摂取量の15〜25%をたんぱく質から確保するよう推奨している。
成人における推奨量は、男性で体重1キログラムあたり0.84グラム、女性で0.75グラムだ。
これは、体重90キログラムの男性で1日およそ76グラム、70キログラムの女性で53グラムに相当する(70歳以上や子供はより多めの摂取が必要になる)。
実際、多くのオーストラリアの成人はすでに十分なたんぱく質を摂取している。
それでもなお、さらに多くを取り入れようと努める人は少なくない。
筋肉量の増加を目的にウエイトトレーニングなどの抵抗運動を行う人にとっては、体重1キログラムあたり最大1.6グラム(90キログラムの人で144グラム)の摂取が筋肉の強度とサイズの増加に有効とされる。
ただし、それ以上を摂取しても筋肉増加に追加の効果はないことが研究で示されている。
したがって、大多数の人にとって推奨量を超える摂取にメリットはなく、むしろ過剰は健康上の問題を招く恐れがある。
◆たんぱく質を摂り過ぎるとどうなるか
余分なたんぱく質は単純に尿や便として排出されるわけではない。体内に残り、さまざまな影響を及ぼす。
たんぱく質はエネルギー源であるため、多く摂取すれば余分なエネルギーを取り込むことになる。
必要以上のエネルギーは、脂肪組織として体に蓄えられる。
また、特定の健康状態では過剰なたんぱく質摂取を避けるべきだ。たとえば慢性腎臓病の人は、栄養士の管理のもとで摂取量を慎重に調整し、腎臓の損傷を防ぐ必要がある。
また、「たんぱく質中毒」という病態もある。これは、十分な脂質や炭水化物、その他の栄養素を摂らずに、たんぱく質を過剰に摂取することで起こる。
この状態は「ウサギ飢餓」としても知られており、20世紀初頭の探検家ヴィルヤルムル・ステファンソンにちなんで名付けられた。ウサギは非常に脂肪分が少ないため、主にウサギを食べて生活していた人々が、短期間で深刻な体調不良に陥ったことに由来する。
◆どこからたんぱく質を摂るかが重要
たんぱく質は、豆やレンズ豆、全粒穀物といった植物性食品や、卵、乳製品、肉、魚といった動物性食品から得られる。
動物性食品からのたんぱく質摂取量が多いことは、高齢のオーストラリア人における早期死亡(特にがんによる死亡)のリスク増加と関連があることがわかっている。
また、動物性たんぱく質の過剰摂取は、2型糖尿病のリスク増加とも関連している。
一方、たんぱく質を植物性食品から多く摂取することは、以下のようなメリットと関連している。
・がんによる死亡リスクの低下
・2型糖尿病のリスク減少
・血中コレステロール値の改善
動物性たんぱく質食品の多くは脂肪を含み、とりわけ飽和脂肪が多い。
飽和脂肪の過剰摂取は心疾患などの慢性疾患リスクを高める。オーストラリア人の多くはすでに必要以上の飽和脂肪を摂取している。
一方で、植物性たんぱく質食品は食物繊維の供給源でもあるが、多くのオーストラリア人は不足している。
食物繊維を十分に摂取することで、心疾患などの慢性疾患リスクを下げ、腸の健康を支えることができる。
◆バランスを取ること
結局のところ、たんぱく質をどこから摂取するか、そして動物性と植物性の摂取のバランスをどう取るかの方が、ただひたすら摂取量を増やすことよりも重要だ。
たんぱく質、脂質、炭水化物は相互に作用し、体を健康に保ち、円滑に機能させる。
これら三大栄養素に加え、ビタミンやミネラルも適切な割合で摂取することが、私たちの健康維持に不可欠である。
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
Translated by NewSphere newsroom
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