「1日100分の歩行」で慢性腰痛リスク23%減 ノルウェーの大規模調査

Bignai / Shutterstock.com

 日常的に歩く時間が長い人ほど、慢性腰痛の発症リスクが低い可能性がある――そんな研究結果を、ノルウェーの研究チームが医学誌「JAMA Network Open」に発表した。

 研究には、ノルウェー在住の成人1万1000人超が参加。平均年齢は約55歳で、いずれも過去に慢性腰痛を経験したことのない人々だった。参加者は加速度計を装着し、日常生活での歩行時間と歩く強度を7日間にわたって記録した。

 その後、歩行データの取得から平均して約4.2年間にわたり追跡が行われ、2021年末から2023年初頭にかけて、3か月以上続く腰痛(慢性腰痛)を新たに発症したかどうかをアンケートで確認した。

 分析の結果、1日に100分以上歩いていたグループは、78分未満だったグループに比べて慢性腰痛の発症リスクが23%低かった。なかでも、歩行時間が100〜124分だった層で最もリスクが低く、それ以上歩いても追加の効果は緩やかだったという。

 歩行の速さ(運動強度)もリスク低下と一定の関連がみられたが、歩行時間(量)の方がより明確かつ強い関連を示していた。

 「これは重要な発見です。なぜなら、歩行はシンプルで、低コストかつ誰にでもアクセスしやすい活動であり、腰痛の負担を軽減するために広く推奨できるからです」と、ノルウェー科学技術大学 公衆衛生・看護学部の博士課程に在籍するレイヤン・ハダッジ氏(本研究の著者の一人)は、ヘルス誌に語った。

 慢性腰痛は世界中で主要な健康課題のひとつであり、生活の質や就労に深刻な影響を及ぼす。研究チームは、本研究の結果がノルウェーの成人にとどまらず、他国の集団にも当てはまる可能性があると述べている。

Text by 白石千尋