実際に効くスキンケア成分が判明 大規模調査で皮膚科医が合意
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多種多様なスキンケア製品が市場にあふれる中、どの成分が本当に効果的なのか判断に迷う人は多い。そんな消費者の疑問に応えるべく、米ノースウェスタン大学の研究チームが全米のトップ皮膚科医62人による合意形成調査を行い、信頼性の高いスキンケア成分のリストをまとめた。この研究成果は、米皮膚科学会誌(Journal of the American Academy of Dermatology、2025年7月号)に掲載されている。
◆厳密なデルファイ法で専門家合意を形成
研究では、318種類の成分を文献レビューで抽出し、まず専門家17人のパネルで83種類に絞り込んだ。続いて、43の医療機関に所属する62人の皮膚科医が、2回にわたるデルファイ法という評価プロセスに参加した。
デルファイ法とは、専門家がスキンケア成分を「1(推奨しない)」から「9(強く推奨)」までの評価スケールで採点し、意見交換を繰り返しながら合意を目指す方法だ。最終的に、強い合意が得られた成分だけが23種類の推奨リストに残った。
◆合意成分の代表例
合意された23種類の成分には、アゼライン酸(ニキビ、シミ)、ベンゾイルパーオキシド(ニキビ、脂性肌)、グリコール酸(ニキビ、シミ)、ミネラルサンスクリーン(小ジワ、赤み)、ナイアシンアミド(赤み、シミ)、レチノイド(小ジワ、ニキビ、シミ、毛穴の開き、脂性肌)、サリチル酸(ニキビ、脂性肌)、ビタミンC(小ジワ、シミ)などが含まれる。
これらの成分は、信頼できる臨床エビデンスに基づき、幅広い肌の悩みに効果があると皮膚科医の間で支持されている。
とくにミネラルタイプの日焼け止めは、肌の老化や赤みの悪化を防ぐために欠かせないと評価されている。レチノイドも小ジワやニキビだけでなく、毛穴の開きや皮脂過多の改善にも効果が認められており、専門家から最も支持された成分の一つだ。
◆「多すぎるスキンケアは逆効果」 専門家の助言
今回の調査を主導したノースウェスタン・メディシンの皮膚科医のアラム氏は、「これは初めて、専門家たちが全国規模で一堂に会し、あふれるスキンケアの選択肢を整理した試みです」と話す。「医師と一般ユーザー双方が、どの成分に最も専門的な支持があるか理解する助けになればと願っています」とも述べる。
またアラム医師はスキンケアについて、「スキンケアにおいては、たくさん使えばいいわけではありません。使いすぎると肌に刺激を与え、かえって状態を悪化させることがあります」と注意を促し、「自分の肌悩みに最も効果的で、日常のルーティンに合った成分を知ることが大切です」と助言している。
スキンケア製品は医薬品のように当局による厳格な審査を受けることはなく、消費者が効果を見極めるのは容易ではない。今回の研究は、こうした大きなギャップを埋める重要な一歩となる。




