「愛情ホルモン」オキシトシンを簡単に増やす方法 ストレスに負けない体と心に
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「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンは、ストレスを和らげるうえで重要な役割を果たしている。近年の研究で、日常生活の中でも手軽にオキシトシンの分泌を促す方法が明らかになってきた。運動や食事、スキンシップなど、科学的に効果が裏付けられている実践的な方法を紹介する。
◆ヨガや運動でオキシトシンが増える
オキシトシンの分泌を促すうえで、運動は欠かせない。米健康情報サイト『ヘルス・ライン』によると、2013年の研究では、統合失調症の患者15人が1か月間ヨガを続けた結果、感情の認識能力が向上し、オキシトシンの数値も上昇したことが確認された。同サイトは、ヨガが「不安やストレスの軽減」「うつ症状の改善」「睡眠の質の向上」などに効果があると紹介している。
ヨガだけでなく、ランニングなどの有酸素運動にも同様の効果がある。米ワシントン・ポスト紙は、運動時間の違いによる影響についての研究を紹介しており、10分間のランニングでも唾液中のオキシトシン値が上昇し、30分間走るとその効果はさらに高まるとしている。
◆音楽やスキンシップも有効
オキシトシンの分泌を促す方法は、運動だけではない。音楽もその一つである。ワシントン・ポスト紙によれば、2015年の研究で、ジャズ歌手4人が即興演奏を行った際、あらかじめ作曲された曲を歌ったときよりもオキシトシン値が高まったことが確認された。研究者は、即興演奏に必要な協力、信頼、コミュニケーションといった要素が分泌を促したと分析している。
スキンシップも効果的だ。ヘルス・ラインは、マッサージの影響について紹介しており、2012年の研究では、成人95人に15分間のマッサージを行ったところ、リラックス効果とともにオキシトシン値の上昇が見られたという。
さらに、犬を飼っている場合には、飼い主と犬が見つめ合うだけでも双方のオキシトシン値が増加し、絆が深まることが研究で示されている。
◆ビタミンDを意識して摂取
運動や人との交流に加えて、日々の食生活に少し工夫を加えるだけでも、オキシトシンの分泌を促すことができる。英イブニング・スタンダード紙は、オキシトシンを活性化させる栄養素や食品について詳しく紹介している。
中でも欠かせないのがビタミンDだ。いわゆる「幸せホルモン」として知られるオキシトシンの生成には、このビタミンが重要な役割を果たすという。ビタミンDは、サーモンや卵黄、乳製品、ビタミンDが強化された植物性ミルクなどに含まれており、日光を浴びることでも体内で合成される。同紙は、曇りの日でも1日20分ほど屋外で過ごすことを勧めており、特に日照時間の少ない冬季には、サプリメントによる補給も有効だと述べている。イギリスの公式ガイドラインでは、10月から3月にかけて、1日あたり10マイクログラムのビタミンDを摂取することが推奨されている。
あわせて摂りたいのがマグネシウムだ。記事では、マグネシウムが「魔法のミネラル」とも呼ばれており、ストレスの軽減や睡眠の質の向上だけでなく、オキシトシンの分泌にも関与していると紹介している。心と体を整えるうえで、日々の栄養選びが思いのほか大きな影響を持つことがわかる。
さらに、「何を食べるか」と同じくらい意外と大切なのが、「誰と食べるか」「誰と作るか」といった要素である。ヘルス・ラインは、友人やパートナーと一緒に料理をしたり、食事をともにしたりすることで、栄養をとるだけでなく、楽しい時間を共有できると指摘している。こうした体験そのものが心地よさを生み、オキシトシンの放出を促すという。
少し意識を向けるだけで、運動や食事の習慣が変わり、ストレスに強い心と体をつくる一歩となる。




