ガムを噛むと数千のマイクロプラスチックが唾液に放出される 研究

New Africa / Shutterstock.com

 ガムを噛むことでマイクロプラスチックが唾液中に放出され、体内に取り込まれる可能性があるようだ。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームによる最新の研究で明らかになった。

◆ガム1個に数百個のマイクロプラスチック
 アメリカ化学会(ACS)によると、UCLAの研究チームは、ガムを噛むことで1個あたり数百から数千個のマイクロプラスチックが唾液中に放出され、潜在的に摂取される可能性があることを発見した。

 研究チームは5種類の合成ガムと5種類の天然ガムで実験を行った。結果、1グラムのガムから平均100個のマイクロプラスチックが放出されており、一部のガムでは1グラムあたり最大600個のマイクロプラスチックが検出された。一般的なガムの重さは2〜6グラムであるため、大きなガムでは最大3000個のプラスチック粒子が放出される可能性がある。

 天然ガムでも、合成ガムと同水準のマイクロプラスチックが放出された。また、噛み始めてからの最初の8分間で94%のマイクロプラスチックが放出されることも判明したという。研究チームは、マイクロプラスチックへの潜在的な曝露を減らしたい場合は、新しいガムを次々と噛むのではなく、1つのガムを長く噛むことを提案している。

◆マイクロプラスチックの種類と影響
 検出されたマイクロプラスチックは主に4種類のポリマー(ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン)で構成されていた。両タイプのガムで最も多く見られたのはポリオレフィンだ。ブラスチックの分類の一つであり、ポリエチレンやポリプロピレンが含まれる。

 研究主任のサンジェイ・モハンティ教授は、唾液中のマイクロプラスチックは酵素によって分解されたのではなく、噛む行為自体が摩擦を起こし、プラスチック片に分解されると説明している。

 CNNによると、ニューヨーク大学環境危険調査センター所長のレオナルド・トラサンデ博士は、研究で使用された化学分析ツールが20マイクロメートルより小さい粒子を識別できないと指摘している。このことから、より小さなマイクロプラスチックやナノプラスチックが検出されず、実際は研究結果を上回る数になる可能性があるという。

◆研究の限界と専門家の見解
 一方、こうしたマイクロプラスチックは体内にさほどとどまらないとの見解もある。フランス24によると、オーストラリアのRMIT大学の化学教授オリバー・ジョーンズ氏は、比較的少量のマイクロプラスチックを飲み込んだ場合、「影響なく体内を通過する可能性が高い」と述べている。

 英ポーツマス大学のデビッド・ジョーンズ氏は、ガムに含まれていないことが知られている特定のプラスチックが検出されたことに驚いており、ガムではなく研究室内の別の物質に由来する可能性があると述べている(同)。

 マイクロプラスチックが注目されるなか、身近な食品との関連を指摘する研究となった。

Text by 青葉やまと