同性愛行為に最大85回の公開むち打ち刑 インドネシア
インドネシアのバンダアチェのシャリア法廷で同性愛行為の罪に問われた2人の男性|Reza Saifullah / AP Photo
インドネシアの保守的なアチェ州にあるイスラム教シャリア法廷は24日、同性愛行為を行ったとして2人の男性に公開むち打ち刑を宣告した。
このカップル(24歳と18歳)は、州都バンダ・アチェで11月7日に逮捕された。近隣住民の自警団が2人を同性愛者だと疑い、裸で抱き合っているところを押さえようと、借りていた部屋に押し入ったという。
裁判長は、この2人の大学生が同性愛行為を行ったことが「法的かつ確実に」証明されたと述べ、それぞれに85回と80回のむち打ち刑を言い渡した。
「裁判の過程で、被告たちがキスや性交を含む違法行為を行ったことが証明された」と、サクワナ裁判官(多くのインドネシア人のように単名)は述べた。また、「イスラム教徒として、被告はアチェ州で適用されるシャリア法を遵守すべきだった」と付け加えた。
3人の裁判官からなる裁判部は、2人が優秀な学生であり、法廷で礼儀正しく振る舞い、当局に協力し、前科もなかったことを考慮し、最高刑である100回のむち打ち刑を科さないことを決定したという。
検察は当初、それぞれ80回のむち打ちを求刑していたが、裁判官は年上の男性が主導し、性交の場を提供したと判断し、彼に対してより厳しい刑を科した。
検察側と弁護側の双方は、この判決を受け入れ、控訴しない意向を示した。
アチェ州は、イスラム教徒が多数を占めるインドネシアのなかでも特に信仰心が篤い地域とされており、イスラム法(シャリア)を施行することが認められている唯一の州である。
インドネシアの世俗的な中央政府は、分離独立をめぐる戦争を終結させるための和平合意の一環として、2006年にアチェ州がシャリア法を執行することを認めた。それ以降、宗教警察やシャリア法廷が設立され、シャリア法の強化が進められてきた。その結果、毎年100人以上が公開むち打ち刑を受けている。
アチェ州は2015年にイスラム法の適用範囲を拡大し、人口の約1%を占める非イスラム教徒にもシャリア法を適用するようになった。これにより、同性愛行為や未婚の男女の性行為を含む道徳違反に対し、最大100回のむち打ち刑が科されることになった。アチェ州で同性愛を理由にむち打ち刑が執行されるのは、今回が3回目となる。
また、アチェ州では賭博や飲酒、女性のタイトな服の着用、男性の金曜礼拝の欠席もむち打ち刑の対象となる。
人権団体は、この法律がインドネシアが署名した国際条約に違反し、少数派の権利を侵害していると批判している。
インドネシアの国法では同性愛は規制されておらず、中央政府にはアチェ州のシャリア法を廃止する権限はない。しかし、過去には姦通罪に対する石打ち刑を盛り込んだ法案が中央政府の圧力により撤回された例もある。
By YAYAN ZAMZAMI Associated Press