フランス出生率、戦後最低1.68 少子高齢化の流れが加速
◆少子高齢化はフランスでも
第一子出産時点での母親の平均年齢は記録が開始された1994年時点では28.8歳。その年齢は少しずつ上昇し、2023年の速報値は31.0歳だ。将来的な出生の機会が減ることを意味する。当然ながら、出生率の低下は身体的な要因だけでなく、個人の判断にも起因する。仕事に関する不安、生活費の高騰、気候変動や戦争といったさまざまな危機も子供を持つかどうかの判断に影響する。
一方で、ネガティブな要素だけでなく、女性が子供を持つかどうかもっと自由に判断しており、役割や権利に関しての伝統的な考え方を見直しているという指摘もある。もっとも、2022年の市場調査によれば、15歳以上の女性の13%が子供を持ちたくないと回答。2006年時点の2%に比べると大幅な増加である。
一方ほかの先進国同様、フランスでも高齢化が進んでいる。フランスの平均寿命は女性が85.7歳で、男性が80歳。これまでで最も高く、男性の平均寿命が80歳を超えたのは史上初めてのことだ。2024年1月時点で、フランスの人口の約2割が65歳以上だ。
公共ラジオ「ラジオ・フランス・アンテルナショナル」は、2000年から2010年にかけてのフランスにおけるベビーブーム世代が親世代になることによって、近い将来、出生率が回復するという予測もあるが、そのタイミングや程度については明確ではないと伝える。出生率の低下に歯止めをかけるため、マクロン大統領からは新たな育児休暇の措置が提示された。しかしながら、未来へのさまざまな不安要素が継続するなか、制度の見直しによる出生率の回復は限定的なものとなりそうだ。
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