安定した老後を送れる国ランキング、日本の順位は? 「健康」指数で上位
◆老後資金への不安は世界共通 1.5億円あっても安心できない
日本では老後の資金問題が盛んに報じられているが、この傾向は世界共通のようだ。調査から、退職資金を自身で確保する必要があると考える人の割合は、2015年の67%から2023年には81%へと急増していることが明らかになった。
23ヶ国の8550人を対象にナティクシスが実施した最新の調査では、資産形成への深刻な懸念が浮き彫りになった。回答者の19%が「100万ドル(約1億5000万円)の預貯金があっても退職できない」と回答している。すでに100万ドル以上の資産を保有する投資家に絞っても、その18%が同様の不安を抱えている。
ナティクシスは、この背景として3つの要因を指摘する。第1に、企業年金制度が、給付額が確定している確定給付型から、運用次第で受取額が変動する確定拠出型へと移行していること。第2に、各国で公的債務が急増していること。そして第3に、新型コロナウイルス、インフレ、市場の乱高下といった短期的な経済ショックが発生している点だ。これらの要因が重なり、退職後の経済的な安定性への不安が世界的に広がっているという。
こうした不安要素を反映し、安定した生活を退職後に送るためには「奇跡」が必要だと考える人の割合は、2021年の40%から、2023年には45%にまで増加している。
年金制度の不備や厳しい懐事情が嘆かれる日本だが、退職後の生活に不安が絶えないのは世界共通の傾向のようだ。