1日わずか4000歩で死亡リスク低減 歩数増えればさらに効果 研究

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 1日1万歩のウォーキングが健康増進に効果があるというのが定説だが、この定説に科学的根拠がないことはご存じだろうか。実は万歩計を宣伝する日本企業のマーケティングチームが編み出した魔法のセリフだったという。果たして1日何歩のウォーキングが健康に良いのか? 新たな研究結果が発表された。

◆1日1000歩増えるごとに死亡リスク低下
 健康で長生きするためには毎日1万歩は歩かなければならない、という考えはずいぶん前に運動科学者によって否定された。歩数は多ければ多いほど良いが、少しでも健康に良いという。それが今、最新の研究によって、毎日比較的少ない歩数でも大きな効果が得られるということが明らかになった。

 研究結果によると、1日最低4000歩歩くだけで、早死のリスクが大幅に低減するが、1日2337歩歩くだけでも、心血管疾患による死亡のリスクを低減できることが示唆された。4000歩から2万歩まで、1日の歩数が1000歩増えるごとに全死因による死亡リスクが15%低減。500歩で心血管疾患による死亡リスクを7%低減する可能性も判明した。1日5000歩未満は、座ることの多い、運動しない生活と見なされるという。

 この研究は、欧州心臓病学会の国際学術誌「European Journal of Preventive Cardiology」に8日掲載された。ポーランドのウッチ医科大学とアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが、日本、オーストラリア、アメリカ、イギリス、スペイン、ノルウェーで行われた約22万7000人を対象にした17の先行研究のデータをメタ分析した結果を発表した。歩数の健康への影響を分析したものとしては、過去最大規模の調査になる。先行研究は、1日に歩いた歩数とそれが治験者の健康に及ぼす影響を平均7年間追跡調査したデータが収集されていた。

Text by 中沢弘子