米国市民権テストが難しくなる可能性 スピーキング力と公民の知識必要に
世界各地から移民を受け入れている移民大国のアメリカでは、2022年度には同国に帰化した成人外国人は約100万人に達し、1907年以来、過去最高水準を記録した。受け入れの際、課しているのが、市民権取得テストだ。移民局員との対面式の面接で英語力などが問われる。このテストが2024年末より、難易度が上がる可能性が浮上している。移民局が2008年ぶりにテストを刷新する改訂案を提出したのだ。新たな変更点の一つはスピーキング力の測定法だ。
◆英語の苦手な申請者にとって厳しい道のりに
アメリカの市民権獲得への道のりがさらに険しくなるかもしれない。米市民権・移民業務局(USCIS)は市民権取得テストに、新たに英語のスピーキングセクションとアメリカの公民に関する多肢選択式問題を盛り込む改訂を検討している。一部移民推進派と専門家から、移民の申請者にとってハードルが高くなる可能性を懸念する声が上がっている。
政府は現在、申請者の英語能力を市民権のテストではなく、移民局員との面接で判断している。それが一転して、タブレットで行う多肢選択式の公民問題を盛り込んだテストに移行する方針を示している。
移民局は昨年末に、スピーキングテストの強化などを盛り込んだテストの改訂案を提出した。2008年ぶりの改訂になる。現行のテストは、申請者が面接で申請書類の内容を基にした試験官の質問に答える方式だ。改訂案では、申請者は試験官が示す日常生活関連の写真を見ながら、その場面を詳細に英語で説明する難易度の高い方式に変更になる。
アメリカの歴史や政治に関する知識を問うテストに関しては、現行の短答式から多肢選択式への変更が盛り込まれた。現行では、申請者は、試験官の質問に対し、5つの正解のうち1つを答えるだけで済む。改訂案では、申請者は質問を読み上げ、選択肢から正解を選ぶ形式となり、解答するには歴史や政治について事前に暗記する必要が出てくる。マサチューセッツ州で公民の教科書作りに携わるビル・ブリス氏は、正解するには高度な英語力とより膨大な知識、さらに受験のテクニックが要求されることになり、テストは一層難しくなるだろう、と見解を述べた(AP、7/5)。
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