NY市中心部の道路有料化なるか 全米最悪の渋滞緩和へ
◆全米に先駆けた取り組みは実現するか
MTAは、本プログラムによる渋滞緩和、公共交通機関の改善、大気の浄化などといった効果を掲げている。導入が進めば全米では初となるが、他国ではすでに同様の取り組みが実践されている。たとえば、シンガポールは、世界に先駆けて1998年に自動化された渋滞課金システム、電子式道路課金システム(Electronic Road Pricing:ERP)を導入した。これは、日本の高速道路のETCのような仕組みで、都心の制限区域で導入されている。また、シンガポールの例に続いて、ロンドンでも2003年に同様の渋滞課金が導入された。欧州ではストックホルムやミラノでも導入されており、それぞれ約25%の渋滞緩和につながっているとのことだ。
渋滞緩和のための課金プログラムの導入は2007年に初めて提案されたが、今まで実現には至らなかった。本件は、2019年、ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモとニューヨーク市長のビル・デブラシオとの間で合意されたもので、現時点、導入は2024年まで先送りされている。具体的な課金額についても、9〜23ドルの間ということまでしか提示されておらず、全貌は明らかになっていない。低所得者層に対するディスカウントなども検討されている。しかしながら、マンハッタンに通勤するニュージャージ州の市民や、ライドシェアサービスを展開するウーバーやリフトからのさらなる反発も予測されており、導入まではまだ越えなければならないハードルが存在する。
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