「EU離脱は成功」と考えるイギリス人は9% 国民投票の記憶も薄れる
◆悪いのは与党? 誰がやってもダメだった説も……
EUからの離脱を訴えたブレグジット党の元党首で、欧州懐疑派の主要人物であるナイジェル・ファラージ氏は、5月上旬のBBCの番組で、イギリスは離脱による経済的恩恵を受けておらず、ブレグジットは失敗だと発言。与党保守党にはひどく失望させられたとも述べた。(米政治専門サイト『ポリティコ』)
ファラージ氏同様、今回の調査でブレグジットは失敗だったとする離脱派は、その原因が保守党にあるとしている。成功する可能性はあったが、現政権と以前の政権(またはどちらか)が実施したことで、ブレグジットが失敗したと75%が回答していた。
一方、ブレグジットを失敗としたイギリス人の多くが、失敗は最初から運命づけられていたと考えている。56%が「ブレグジットは常に失敗になるはずで、どの政府がやってもうまくいかなかった」と回答。もっとも全体の72%が、現政権はブレグジットの対応が下手だとしている。
◆国民投票の熱は冷めたけど……景気低迷で批判やむなし?
国を二分し大騒ぎとなったEU離脱を問う国民投票は、最終的に52%対48%で離脱に軍配が上がった。あれから7年になろうとしているが、ユーガブの調べでは、イギリス人の10人中7人が、この投票結果の2つの数字を正しく思い出せなかったという。「自分は政治に関心が高い」と考えるイギリス人でも、正しく答えられたのは46%という残念な結果になった。投票もすでに過去のこととして、記憶から消えて行きつつあるようだ。
ポリティコ誌によれば、ファラージ氏はブレグジットと移民への政府の対応に不満を抱いており、政界復帰を目指しているという情報もある。イギリス経済は、パンデミックやウクライナでの戦争の影響もあり低迷気味だ。人々の不満はさらに政府に向かうため、国民投票の記憶が薄れるなか、ブレグジットが単なる与党の失策として、政争の具にされる可能性もありそうだ。
- 1
- 2