ニューヨーク市が「ネズミの皇帝」を任命 駆除対策に本腰
◆住民4人当たりネズミ1匹の割合 公衆衛生上の問題に
ルーディ・ジュリアーニ元市長が執務にあたった1990年代にドブネズミの増加が問題となり、専門のタスクフォースが創設された。ネズミの個体数管理および駆除はその頃から公約として推進されていたが、アダムズ市長は今回初めてネズミ駆除専門の職員を起用した。
市当局によると、2020年よりネズミの目視率は71%増加した。新型コロナの影響で飲食店の店内営業が停止し、屋外で食事を取る割合が増えたことが、ネズミの繁殖につながったとみている。ネズミの個体数は正確には不明だが、2014年の調査によると、ネズミの生息数は推計約200万匹、住民4人に対し1匹の割合になる。
ニューヨーク市衛生局のウェブサイトによると、ネズミは食品を汚染し、発熱などの急性熱性感染症の「レプトスピラ症」などの病気を発生させる可能性があり、ニューヨーク市にとって深刻な公衆衛生上の課題となっている。
ニューヨーク市は「ナンバー1の敵」と呼ぶネズミの駆除対策として、すでにいくつかの措置を導入している。4月1日からは、ビル管理者にゴミ回収時間の夜8時前に道路脇にゴミ袋を放置することを禁止した。また、食品廃棄物の削減のために生ごみ用コンポストの設置も積極的に実施している。さらに、予算350万ドル(約4億7000万円)を投入して、マンハッタン北部の半分を網羅する「ハーレム・ネズミ排除地域」を設置し、ネズミの点検の見直しと実施回数の拡充、駆除用のえさや罠の設置などを推進する計画がある。
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