1万トン超えたパリのごみ…スト以前から汚くなっていた花の都

通りに積み上げられたパリ市のごみ(3月15日)|Thomas Padilla / AP Photo

 現在、年金制度改革に反対するデモとストが吹き荒れているフランス。パリをはじめ、いくつかの都市においてはごみ収集業者のストで、ごみが歩道にあふれる状態となっている。特にひどい状況のパリでは、イダルゴ市長の意図的な無策を批判する声が高い。だが、実はパリの「汚さ」は今に始まったことではない。

◆ハッシュタグ#saccageParis(パリの荒廃)
 パリの管理の悪さを批判するハッシュタグ「#saccageparis」が最初にツイッターで使われたのは2021年3月21日のことだった。この動きへの賛同者は多く、消されないまま放置されたスプレー落書きの数々、工事の後に舗装されないままになっている歩道、違法投棄されたごみが散乱する公道、手入れの行き届かない緑地帯、壊れたごみ箱などの目を覆いたくなるパリの汚れた街角写真が#saccageparisつきで投稿され、その数は1年で300万件に及んだ。

◆「汚くなった」パリ
 2014年からパリ市長を務めるアンヌ・イダルゴはスペイン生まれのスペインとフランスの二重国籍者で、社会党に属する。就任以来、良く言えば斬新、悪く言えば突拍子もない発想でパリの改造に熱中してきた感がある。なかには住民に忍耐を強いるものも少なくなく、筆者の周りでも不満の声がよく聞かれた。

 困難な移行期を経たとしてもパリ市の状況が改善されるのならば我慢もできるのだろうが、実際はイダルゴ氏が市長を務めるようになってからパリの町はより汚くなったと感じる人が多い。

 2021年のアンケート調査においては、84%がパリを「汚い」と感じており、80%のパリジアンがパリ市の秩序政策に不満を表明している。また、パリの衛生管理と維持に不満を持つ人は73%、ネズミの繁殖への対策に不満を持つ人も65%いた。ちなみに、故シラク大統領がパリ市長を務めていた1991年には、パリの町を汚いと答えた市民は53%だったから、その差は歴然としている。(ル・ポワン誌

Text by 冠ゆき