ゴブリンから人間に戻る一年…今年の言葉に「ゴブリンモード」 英出版社

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◆今年の言葉から見る社会
 ゴブリンモードは、社会規範や期待といったようないわゆる世間体を気にせず、自己中心的、怠惰、ずぼら、または貪欲な言動を堂々と行うといったような態度を指す俗語表現だ。それはたとえば、夜中の2時にだらしない格好で体に悪そうな夜食を作って食べたりするといったことだ。ザ・カットでインターネットカルチャーに関する記事を執筆するミア・メルカド(Mia Mercado)は、ゴブリンモードは意図せずスマホの自撮りモードを起動してしまった時に写る自分の姿だと思えばいいと解説する。

 オックスフォード・ランゲージズの解説によると、ゴブリンモードは2009年にツイッター上で登場した言葉だが、SNSで大きく広まったのは今年の2月だという。ゴブリンモードには、コロナの規制が緩和されて今までの生活に戻ることに反発する人々や、SNSにおける非現実的な「完璧さ」などに抵抗する人々のムードが反映されていると同社は分析する。

 一方、権威ある別の辞書であるメリアム・ウェブスターは、今年閲覧数が急増したとして、「ガスライティング」を今年の言葉に選んだ。ガスライティングは、故意に、意図的に誤った情報を提示し続けるという種の嫌がらせや虐待を指す言葉。ゴブリンモードもガスライティングも、どちらもSNS上の「リアリティ」に生きる人々のムードや言動を表している。ゴブリンモードという単語への支持は、暮らしに現実味を取り戻したいと願う人々の意思表示なのかもしれない。

Text by MAKI NAKATA