「赤信号でも右折可」のアメリカで見直しの動き 車社会ならではの悪習?

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 アメリカの交差点では、自動車は赤信号でも右折可能という交通規則がある。他国ではあまり見られないアメリカならではのルールだが、実はこれがかなりの交通事故の原因になっているという。近年このルールの見直しをする自治体が増えており、一部地域ではすでに廃止されている。

◆オイルショックで全米が導入 今は置き土産?
 アメリカでは車は右側通行なので、「赤信号での右折」は日本でいう「赤信号の左折」となる。日本では白字に青の矢印の標識が「赤信号でも左折可」であることを示すが、基本的に赤信号での左折は禁止だ。

 サンフランシスコのメディア『SFGATE』は、赤信号で右折というのは、ほとんどアメリカ独自のルールで、ほかの国では禁止されていると述べる。このルールのきっかけとなったのは1970年代の石油危機によるガソリン不足で、赤信号で止まらないことで燃料が節約できるということで導入された。

 テキサス州のオースティン・モニター紙によれば、このルールは排出ガス削減策でもあったという。1975年に成立した「エネルギー政策・保全法」で、州政府が環境保全プログラムの連邦補助金を受けるには、赤信号右折ルールを制定しなければならないとしたため、広く普及したという。もっとも排出削減効果については、疑問視されてきたと同紙は述べている。

Text by 山川 真智子