ウイルスが宿主の匂いを操り、蚊をおびき寄せている可能性 研究
蚊をひきつける要因として、これまで色や二酸化炭素、汗、血液型などが知られているが、最近発表された研究によれば、特定のウイルス感染者の匂いも蚊を呼ぶ一因となることがわかった。
◆温暖化に伴い生息地を広げる蚊
近年の地球温暖化の影響で、蚊の行動範囲は広がる一方だ。ヨーロッパでは、とくにヒトスジシマカ(Aedes albopictus)が注目される。一般にタイガー・モスキートとも呼ばれるヒトスジシマカは、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱、犬フィラリア症などの感染症を媒介することで知られるヤブカの一種だ。
フランスでは2004年、スイスでは2003年に初めて確認されており、その後毎年北上の一途をたどっている。スイスでは2003年時点で南部のティチーノ州のみで認められたヒトスジシマカだったが、2013年にはアルプスの北部まで広がっている(スイス医療雑誌、2019/5/1)。フランスでも、ヒトスジシマカが確認された県は2020年夏の58県から2022年初めには67県に拡大した(フランス厚生省サイト、4/14)。
また、フランス厚生省は、ヤブカだけではなく、イエカに対する注意も喚起している。ごく最近、イエカ属に属するアカイエカ(Culex pipiens)がウエストナイル熱ウイルスを媒介した例があったからだ。蚊刺され予防対策は、感染症予防対策としても重要だとわかる。
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