封鎖解除とは名ばかり…「ゼロコロナ」に翻弄される上海の人々 国外脱出も
◆ストレスに押しつぶされる人々
現在、中国では国際便の数は非常に少なく、また大変高額である。ゼロコロナ政策を理由に欠航になることも少なくなく、上海脱出は容易なことではない。
また人々は日々大きなストレスを抱えている。いつ何が原因でQRコードが赤に変わり、隔離施設に連行されるかもしれない。自分は家にこもっていても、同じマンションから接触者が出る可能性もある。
上述の知人のマンションは、幸い出発日まで閉鎖されることなく、知人も無事帰国の途に就いた。だが、その翌朝、住んでいたマンションから投身自殺者が出たことをマンションの連絡網で知った。
中国大陸に住む約85万人の外国人は、過去2年で半減したが、今年末までにさらに半分に減ると在中国欧米商工会議所は予測している(ル・ヴァン・ド・ラ・シン、5/9)。仮に同じ割合とすれば、2020年時点で16万人以上の外国人が住んでいた上海からは、これから半年で数万人の外国人が帰国する計算になる。
◆始まる上海脱出
上海から脱出を図るのは外国人だけではない。中国の中産階級以上の若いエリートたちのなかにも、海外への移住を試みる者が増えている。また、最も多い脱出者は地方からの出稼ぎ労働者だ。上海の人口は約2500万人。そのうち約1000万人が市戸籍を持たない外来人口で、その大半が農村からの出稼ぎ労働者と言われる。
彼らの多くは5月末、上海を離れる許可が下りるとすぐに脱出を図ろうと駅に殺到した。その時点ではまだ地下鉄などの交通機関が完全に回復していなかったため、駅まで何キロも何時間も歩いて移動し、切符を手に入れるため、地下の駐車場に泊まり込む人が続出した。(クーリエ・アンテルナショナル、5/30)