子供を兵士にしないことにフーシ派が合意、国連報告 イエメン内戦
国連は4月18日、イエメンの反政府武装勢力フーシ派が子供兵を解放することに同意したと発表した。7年間におよぶ戦闘に数千人の子供兵が関わったとされる。
フーシ派は、武力紛争における子供の徴用や利用のほか、子供の殺傷、学校や病院への攻撃を禁止し、それらを防止するための、国連が「行動計画」と称する協定に署名した。国連のデュジャリック報道官によると、半年以内にフーシ派は武装集団にいる子供を特定の上、全員を解放することを公約した。
フーシ派外交トップのアブダル・エルー・ハジャル氏が協定に署名した。イエメンの首都サヌアで開かれた合意の記念式典の場で、国連児童機関の代表とフーシ派幹部が報道陣の前に姿を現した。フーシ派では、子供たちを保護する計画だとしている。
国連によると、国際的には認知されているものの首都から離れた都市を拠点としている暫定政権は2014年以降、内容が共通する複数の協定文書に署名している。
紛争地域の子供たちを監視している国連のバージニア・ガンバ事務総長特別代表(子供と武力紛争担当)は、フーシ派の動きを「前向きで励みとなる第一歩」としつつも、「長い道のりで最も困難なのはこれからだ」と言う。ニューヨークでフーシ派による署名の証人として立ち会った同氏は声明のなかで、「行動計画が完全に実施され、イエメンの子供たちのさらなる保護に向けた具体的な行動につなげなければならない」と述べている。
国連では、イエメン内戦で約3500人の子供が徴用・配備されたとしている。だがフーシ派幹部が2018年にAP通信に語ったところによると、彼らはそれまでに1万8000人の子供兵を投入したほか、元子供兵だった人物は報道協力者に対し、10歳ほどの少年も徴用されていたと語っている。フーシ派の軍報道官は当時、18歳未満の青少年を組織的に徴用したことはなく、入隊を希望する子供がいた場合には拒否するよう命令されていたと話していた。
戦争で1万200人以上の子供が死傷したと国連は述べているが、子供兵の人数は明らかではない。
イエメンでは、2014年にイランの支援を受けたフーシ派が首都サヌアを占拠し、政権を追放したことで内戦が勃発した。アラブ首長国連邦(UAE)を含めサウジアラビアが主導する連合軍は2015年初頭、政権奪取を目指して戦争に介入した。国連の軍事監視団によると、内戦で1万4500人以上の民間人が死亡し、戦闘員も含めると15万人が犠牲になったとみられる。また、戦闘により世界最悪の人道危機がもたらされた。
紛争当事者は4月初め、6年ぶりの全面的な停戦合意に達した。イスラム教の聖なる月であるラマダン(断食月)の時期に始まった2ヶ月間の協定により、和平への機運の盛り上がりが期待された。
イエメンのハーディ大統領は辞任し、新たな大統領評議会が暫定政権の運営、フーシ派との交渉を担うと発表した。サウジをはじめとする国々では、長年にわたって反フーシ派閥の内紛を抑えられなかった指導者の交代が歓迎された。フーシ派の報道官は一連の動きについて、遠方でなされた「非合法」な決定と断じて冷ややかな反応を見せた。
By JENNIFER PELTZ Associated Press
Translated by Conyac