ユニセックス、天体、自然系が流行? 米でキラキラネームが人気

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 日本では赤ちゃんに個性的な名前、いわゆる「キラキラネーム」をつける親が増えているが、アメリカでもその傾向が強まっている。ひと昔前までは、ありがちな名前を子供につけることに抵抗がなかったアメリカ人だが、近年はトレンディな名前に加え、ほかにはない独特な名前をつける親が増えている。

◆ありがちな名前消滅 昨年の人気の名前は?
 子育て情報サイト『ベイビーセンター』が発表した「2021年に最も人気だった赤ちゃんの名前」は、男児が1位Liam(リアム)、2位Noah(ノア)、3位Oliver(オリバー)で、女児は1位Olivia(オリビア)、2位Emma(エマ)、3位Amelia(アメリア)だった。

 男児のトップ10内には、新たにLevi(リーバイ)、Asher(アッシャー)がランクイン。女児のトップテンでは1~3位に加え、Ava(アバ)、Sophia(ソフィア)、Luna(ルナ)など最終音節がah(ア)の音で終わる名前が8つ入っており、近年のトレンドとなっている。

◆むしろ好まれていた 同じ名前が選ばれた理由
 アメリカの社会保障局が発表しているデータでは、1960年代では男児ではマイケル、デビッド、ジョン、女児ではリサ、メアリー、スーザンといった平凡な名前が上位を占めていた。命名トレンドを紹介するサイト『Namerology』の創設者ローラ・ワッテンバーグ氏は、年配者に聞けばクラスに5人はメアリーがいたと答えると述べ、当時は誰も気にしなかったとアトランティック誌に話している。

 同誌によれば、アメリカでは歴史的に家系図の中にある誰かの名前から子供の名前を選ぶことが多く、そのせいで同じ名前が使われ続けた。男児の場合は家を継ぐ可能性が高いことからその傾向は女児よりも顕著で、名前のバリエーションが少なかったという。

 地域や宗教に根差した独特の名前もあったが、ありがちな名前が増えたのは1940年代から1950年代にかけてだった。世界恐慌と第二次世界大戦を経験した親世代に文化全体、また国全体への連帯感が生まれたのではないかとベルビュー大学のクリーブランド・エバンス名誉教授は指摘する。共有こそ成功への道と思われていた時代には、他人と同じであることは悪いことではなかったとしている。(アトランティック誌)

Text by 山川 真智子