香港ペットショップの小動物2000匹が殺処分 コロナが呼ぶペットの受難

ハムスターがコロナ感染した香港のペットショップ(1月18日)|Kin Cheung / AP Photo

◆危惧されるのは新たな変異
 動物の新型コロナ感染は、すでにこれまでに農場や動物園で複数確認されている。種類でいえば、ミンク、ゴリラ、ライオン、トラ、ハイエナ、シカ、カバなどがそれだ。また犬や猫といったペットの感染も世界各国で報告されている。(ウェスト・フランス紙、2021/2/14)

 このうちミンク農場では、物議を醸しながらも、複数の国でミンクの大量殺処分が実行された。当時も議論されたように、動物の新型コロナ感染が引き起こす最大の危惧は、ある種の動物が新型コロナウイルスのレゼルボア(保有宿主)となり、ウイルスに新たな変異機会を与えること、そうしてそれが再びヒトに感染することだ。

◆動物からヒトへの感染リスクの現実性
 では、それが現実のものとなる可能性はどの程度なのか? 世界保健機関(WHO)は、動物の種によってはヒトとの間で新型コロナウイルスをうつし合うことが可能だと考えている。WHOのマリア・ヴァン・ケルコフ氏は、いまのところ「そのリスクは低いものだが、常に観察を怠っていない」と述べている。(20minutes紙、1/19)

 今回殺処分決定を発表した香港の食品保健局長ソフィア・チャン氏は、「国際的にはペットがヒトにコロナウイルスをうつすという確たる証拠はまだない」と認めている。だがゼロコロナ策を講じる香港としては「予防的措置」を選んだ形だ。(同)

 この香港の決定には動物虐待防止協会(SPCA)をはじめ、香港内外から非難の声が上がった(同)。

Text by 冠ゆき