男性同性愛者の献血、仏で全面解禁へ 性交歴の条件を見直し
◆新型コロナが進めた解禁
アメリカは2015年までゲイ・バイ男性の献血を完全に禁止していたが、この年、1年の禁欲期間を条件に解禁し、その後2020年には禁欲期間を3ヶ月に短縮した。シアンス・アヴニール誌(2020/4/2)によれば、この変更には、新型コロナが大きく関わっている。なぜなら、パンデミックが原因で献血数が減り、血液不足が深刻となったからだ。これをカバーするため、アメリカではゲイ・バイ男性の献血条件を緩和するとともに、そのほかの献血禁止条件も、過去1年から3ヶ月に短縮した。具体的には、女性がゲイ・バイ男性と性交渉を持つこと、入れ墨やピアスを体に施すこと、マラリアの危険の高い地域を訪れることなどだ。
パンデミックが原因となる血液不足はフランスでも同様に報告されている。フランス血液機関責任者によれば、1月11日現在の血液の在庫は理想とされる在庫量の77%しかない。この事実は、今回のフランスの決定にもなんらかの影響を及ぼしたと考えられる。(ル・モンド紙)
◆性的指向よりも性的習慣チェックが重要
理由はどうあれ、フランスの団体Inter-LGBTは今回の決定を歓迎している。ゲイ・バイ男性の献血から禁欲期間条件をなくすと同時に、フランスは献血の際の質問票も変更すると決めた。性的指向(ヘテロか、バイか、ゲイか)に関する項目を撤廃し、性的習慣(複数人との性的関係、薬物使用下においての性的接触など)についてのみ調査することにしたのだ。Inter-LGBTの広報ガティポン氏は、この変更は実際のHIV感染リスクに沿うものであり、性的マイノリティへの差別是正につながると評価している。(20 minutes紙、1/12)
実際、異性愛者であってもリスクを伴う行為は存在するため、性的習慣のチェックは重要だ。ちなみに、日本でも、過去6ヶ月の間に「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった」人は、男女とも献血ができないことになっている。