「鳥はすべて国民監視ドローン」陰謀論パロディ運動「鳥は偽物」とは?

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 米国で陰謀論に対するパロディ運動「鳥は偽物だ(Birds Aren’t Real)」が話題になっている。さまざまな陰謀論やデマが展開される状況下、23歳のあるクリエイターが冗談で始めた陰謀論への抵抗が、若者を中心にコミュニティとして広がり話題になっている。その内容とは。

◆「鳥は偽物だ」という運動
 パロディ運動である「鳥は偽物だ」は、メンフィス出身のクリエイター、ピーター・マッカンドゥー(Peter McIndoe)が2017年に始めたものだ。同運動のサイトに記された「設定」によると、1976年に開始した運動は当初、本物の鳥の虐殺を止めるためのものだったが、その努力は失敗に終わり、米国政府が本物の鳥をすべて、監視カメラを搭載したロボットのレプリカ(監視ドローン)に取り替えた。「鳥は偽物だ」の意味は、米国内には本物の鳥は一羽も存在せず、すべての「鳥」は監視ドローンであるということだ。サイト上には、この「馬鹿げた」陰謀論のメッセージがプリントされた、Tシャツ、パーカー、キャップといった数多くのグッズも販売されている。

「鳥は偽物だ」は、ユーチューブ、インスタグラム、ティックトックなどのデジタルメディアを通じた動画や投稿の配信のほかに、リアルな場での活動展開を行っている。ピッツバーグ、メンフィス、LAなどには「鳥は偽物だ」と書かれた大きなビルボード広告が出現。運動の参加者たちは、関連のメーセージが印字された白いワゴン車で、プロテスト活動を展開。その内容は、ツイッター本社の前でロゴの変更を訴えたり、ミズーリ州の野球チームであるセント・ルイス・カージナルスの鳥のロゴに反対したりといったものだ。彼らのジョークは本格的である。

Text by MAKI NAKATA