デルタ株収束の南アフリカ、ワクチン接種状況と反対デモ
新型コロナウイルスの感染者数がアフリカ大陸で最も多い南アフリカ。デルタ株による第3波をようやく収束させ、9月13日からはロックダウン規制が一段階緩和された。同時に、南アフリカ政府はワクチン接種を積極的に進めており、ポータルや大会場といったワクチン接種のインフラは整備されつつある。一方、他国同様、ワクチン接種反対の動きも起こっている。南アフリカにおける新型コロナとワクチン接種の最新状況とは。
◆デルタ株の第3波がようやく収束
南アフリカは、新型コロナウイルスの累計感染者数がアフリカ大陸のなかでもっとも多く、9月20日現在でのその数は288万人だ。累計感染者数の多い国は、その後モロッコ、チュニジア、エチオピア、リビアと続く。南アフリカの人口はアフリカのなかでは5番目に多い約5931万人。100万人あたりのケース数でみても、セーシェル、ボツワナ、カーボベルデ、ナミビア、チュニジアに続いて多い。ただし累計検査数も1700万件とアフリカのなかではもっとも多く、2番目のモロッコの2倍近い検査数を記録している(出所:「アフリカビジネスパートナーズ調査」)。
昨年3月中旬以降の南アフリカにおける新型コロナウイルスの感染状況は、昨年7月に第1波を迎え、その後、9、10月は落ち着いたものの、11月ごろから徐々に感染が拡大し、今年1月中旬ごろに第2波のピークを記録。5月ごろからデルタ株を中心に感染者が増え、7月上旬が第3波のピークとなった。9月下旬現在はようやくその第3波が収束し、9月13日からはロックダウン規制が緩和された。南アフリカは、パンデミック対応として5段階のロックダウン規制を導入している。レベル5がもっとも厳しく、規制には国境封鎖、厳しい移動制限、アルコール販売禁止などの措置が含まれた。対して、レベル1はほぼ通常に近い状態。9月13日からのロックダウン規制は、調整されたレベル2というもので、夜間(23時から4時)の外出禁止やアルコール販売の制限(敷地外消費を目的とした小売店での酒類販売は、月曜から金曜の午前10時から午後6時の間のみ)、集会の人数規制などが定められている。
筆者は、昨年2月以降、南アフリカに約16ヶ月間滞在し、第3波収束後の9月中旬に南アフリカに再入国した。屋内・屋外問わず、公共の場ではマスク着用が義務付けられているが、現在、小売店や飲食店などは、ほぼ通常通り営業しており、バスなどの交通機関もほぼ通常通り運行している。第3波のピークが過ぎ、人々の気が緩んでいるような雰囲気もある。
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