イゲ州知事「ハワイ観光来ないで」 感染者の大半はハワイ州民
感染力が非常に強いことで知られ、現在世界中を席捲している新型コロナウイルスのデルタ株。アメリカでも一度は毎日1万人台まで下がった新規感染者数が7月中旬を境に増加傾向に転じ、8月に入るとさらに増加スピードが速くなった。
筆者が住むハワイ州も決して例外ではない。本土から地理的に遠く離れたハワイ州では、いままで感染者抑制に成功していたが、現在一部地域でデルタ株が猛威を振るっている。しかも入院治療を要する重症患者は、ほぼ100%がワクチン未接種の人々であるという。8月24日にニュース局MSNBCでインタビューを受けたジョッシュ・グリーン副知事は、新型コロナ重症患者の増加により、「これはワクチン未接種者のパンデミックだ」「ハワイの集中治療室の占有率は現在120%」と述べている。120%とは、つまり満員以上である。
◆若年層の感染率が6割近くに
ハワイ保健局によると、8月30日の新規感染者は720人。うち人口の最も多いオアフ島は468人、次いでハワイ島が139人、マウイ島が73人、カウアイ島が34人、ラナイ島、モロカイ島が0人、そして他州で感染した州民が6人となっている。8月28日までの過去7日間の平均新規感染者数は874人。
しかも今回の感染拡大は、シニア層が大半を占めていた前回とは感染者の年齢層が大きく異なる。ハワイ保健局によると、最も感染者が多いのは18~29歳の24%。次に30~39歳の19%、0~17歳の16%と続き、39歳以下の若年層が6割近くを占めている。この感染率の違いは、年齢層ごとのワクチン接種率に関連していると言ってもいいだろう。
同局によると、ハワイ州全体のワクチン接種率は8月30日現在63.1%。うちホノルル郡(オアフ島全域)は最も高い65%で、次いでカウアイ郡(ニイハウ島含む)62%、ハワイ郡60%、マウイ郡(ラナイ島とモロカイ島含む)56%。ハワイ島とマウイ島で人口比感染率が高いのは、ワクチン接種率が比較的低いのが理由だろう。12歳未満の子供たちはまだワクチンが受けられないほか、ハワイにも一定数の「アンチバクサー(Anti Vaxxer)」と呼ばれるワクチン反対派の人々が存在する。また反対派ではなくても、開発されたばかりのワクチンに抵抗があるという人も多くいるだろう。筆者の知人も、感染防止対策はしていたもののワクチンに抵抗感があり、数日前になってやっと1回で済むジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン接種を受けた。体調に変化はないそうで、「簡単すぎて、かえって拍子抜けした」と話していた。
今回のデルタ株感染拡大は、米疾病対策センター(CDC)が言う通り「ワクチン未接種者のパンデミック」である。地元紙ホノルル・スターアドバタイザー(電子版)の8月25日付エディトリアル記事で、医師のミシェル・カーボーン氏は、「ハワイの集中治療室は満員で、死の危険がないほかの手術はほぼ延期になっている」「2日前(8月23日)までは、ハワイの集中治療室のベッドで治療を受けていたのは100%ワクチンを接種していない人々だった」などと述べている。
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