空港での超特急PCR検査は4万6千円 海外旅行者が増加のスイス

(C): Flughafen Zürich AG

 いま、スイスは夏休みの季節だ。学校の夏休みは地域によって開始時期は違うが、だいたい7月から5~6週間続く。会社員は2週間ほどの休暇を取る。

 8月3日時点で、スイスは新型コロナのワクチン接種率は2回完了が48%となっている。非EU加盟国のスイスのワクチン接種証明は、7月9日からEUのデジタルシステムにつながり、EU内で認証されるようになった。

 非EU加盟国のワクチン接種証明がEUの証明と同等だと認められたのは、スイスが初めてだ。EUはほかに35ヶ国と交渉を進めている。スイスが1番になった理由は、ヨーロッパの中央に位置するスイスが、EU諸国にとって乗り換えの点でも旅行先としても重要な場所だと判断されたためだ。(ターゲス・アンツァイガー)

◆戻ってきた国外旅行者たち
 EU内では、ワクチン接種完了者は接種証明を提示すれば事前のPCR検査なしで他国へ入国でき、10日間の自主隔離も不要だ。ワクチン未完了の場合は出国前のPCR検査の陰性証明(抗原検査も可。ただし証明の有効期間はPCR検査より短い)が必要で、同じく自主隔離は免除だ。もちろん新型コロナの感染拡大は終息していないが、他国に入国した際の自主隔離が不要になったことで旅行する人が増えている。

 スイスの空の便の状況を見ると、SWISS(スイス国際航空)では、6月1日の時点で夏休みの予約が急きょ増加した。SWISSは多数の路線を再開したり新規に就航したりしており、人気の渡航先は、近隣国ではとくにイベリア半島、ギリシャ、イタリアなどの地中海地域、中距離地域では北米とアラブ首長国連邦だという。Tamur Goudarzi Pour最高商務責任者は、「夏に向けて短期的に予約が増加していて、お客様たちの旅行したい気持ちがいかに強いかがはっきりとわかります」とコメントした(aboutTravel)。

 7月からの夏休みを前に、6月の乗客数はすでに増加傾向にあった。感染拡大前の2019年同月と比べ78.5%減ではあるが、昨年の同月に比べ208%も増加した(チューリヒ空港資料)。

 感染対策が大幅に緩和されたいま、ヨーロッパ人たちは国外旅行をせずにはいられないという気持ちなのだろう。筆者の周りを見ても、昨年の夏休みはスイス内で過ごしていた知人・友人たちが、今夏は観光客がまだ少なそうなオーストリアの町のスパホテルで過ごしたり(通常はイタリアに行くが今夏は観光客が多数戻ってきそうなので控える)、2年ぶりにお気に入りの南仏の町に行ったり(ただし滞在期間はいつもより短縮)、昨夏行けなかった父親の出身地の東欧に行ったりといった具合で国外に出かける。

Text by 岩澤 里美