テロ、ヘイトクライム増加の恐れも ロックダウン解除で懸念される治安情勢

Marcio Jose Sanchez / AP Photo

 今年に入ってもその流れは変わっていない。最近では白人だけでなく黒人からもアジア系が暴力、嫌がらせを受ける事件も発覚している。また、昨年に比べニューヨーク市ではアジア系へのヘイトクライムが約5倍に増加したとの報道もある。

 当然ながら、アジア系ということで日本人が被害に遭うことも珍しくなく、行動制限が緩和されていくにあたっては、今後さらに注意は必要だろう。

◆米国土安全保障省が注意喚起 
 一方、テロにおいても警戒が高まっている。たとえば、米国土安全保障省は14日、国内のテロ情勢について新たな見解を示し、新型コロナ感染防止対策によって社会的不満を強く抱くようになった者、SNS上で白人至上主義やイスラム過激思想などに感化された者、人種や宗教の排他主義的な思想を持つ者などによるテロの脅威が高まっていると警告した。

 米国では白人至上主義など極右勢力によるテロが近年増加している。テロ研究の世界でも、極右勢力がネットやSNSなどで白人の若者に近づき、勧誘やリクルートを行っているとの指摘がたびたび聞かれる。今年1月6日には、トランプ支持者や極右過激主義者たちがワシントンにある連邦議会議事堂を襲撃する事件もあったが、社会的規制が解除されることによる極右勢力の動向には注意が必要だろう。

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Text by 和田大樹