アジア系差別が多い地域の特徴とは? イタリアの事例からわかったこと
新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、世界各地でアジア系住民への憎悪犯罪が増えている。もちろん、見過ごすことができない社会問題である。
◆ヘイトクライム、コロナ禍後にも影響か
アメリカでは、それらの憎悪犯罪をなくすため、人権や公民権保護を強化する政策を推進する民間団体Stop AAPI Hateが昨年3月に設立した。同団体のレポート「2020-2021 National Report – Stop AAPI Hate」によると、2021年2月末までの約1年間にアメリカ全土から憎悪行為の報告が3795件寄せられ、そのうち12.6%の被害者は17歳以下の若者、6.2%は60歳以上だった。女性が標的になりやすく、男性の2.3倍の被害を受けた。
行為の内容は「暴言」が最も多く68.1%、「露骨に避ける」20.5%、「身体的な暴力」11.1%、「咳をされる/唾を吐かれる」7.2%、「職場での差別」4.5%、「サービス提供、入店、交通機関の拒否」4.3%などだった。アジア系アメリカ人が多い州で報告が目立ち、カリフォルニア州では44.5%、ニューヨーク州では13.6%、ワシントン州では4.1%だった。
イギリスでも似た傾向が見られる。警察のデータによると、感染が拡大し始めた2020年1~4月は、2018年、2019年の同期と比べ、アジア系の人たちに対するヘイトクライムが300%も増加した。最近のYouGovの調査では、黒人、アジア人、少数派人種のうち、ほかのどの人種よりも中国人が人種的な中傷を受けたという。(BBC)
訪英する中国人へのPRや中国メディアのコーディネートを行うチャイナ・トラベル・アウトバウンド社は、感染が落ち着いて国外旅行が自由にできるようになったら、中国人はアメリカや、同様にアジア系への差別行為が増えているオーストラリアを避けるかもしれないと述べる。また、ホスト国にとって多額の利益をもたらすサマーキャンプ、スタディツアー、大学といった教育事業に参加するアジア人学生の数も影響を受ける可能性があるだろうと言う。(ナショナル・ジオグラフィック)
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