寒さから病気や死に直面する子供たち、アフガニスタン
戦争で荒廃したアフガニスタンでは、30万人を超える子供たちが冬の凍てつく寒さに襲われている。冬の気候に適した衣服や暖房器具がないなか、病気を患ったり命を落としたりすることになりかねないと、人道支援団体による報告が昨年12月31日に伝えられた。
アフガニスタンでは、いまも続く軍事衝突により多くの家が破壊され、住むところを追われた子供たちは避難キャンプでの生活を余儀なくされている。そこでは、飢えや新型コロナウイルス感染症などの病気におかされるだけでなく、氷点下の気温により命を落とす危険性すらある。
非政府組織「セーブ・ザ・チルドレン」のアフガニスタン事務所代表クリス・ニャマンディ氏が発表した報告書によると、北部地域に早くから降った雪により、子供たちの健康状態がきわめて悪化しているという。
ニャマンディ氏は、「冬の悪天候のために、学校が閉鎖された子供たちへの影響が深刻です。家庭には、冬用の衣服を買うための経済的余裕はありません。身を切るような寒さから逃れるためには、家の中で身を寄せ合うしかないのです」と話す。
気温がマイナス27度まで下がるような、アフガニスタン国内でも寒さの厳しい地域では、学校は3月まで閉鎖される。
セーブ・ザ・チルドレンは、アフガニスタン全34州中の12州において、10万を超える世帯へ冬の必需品セットを配布してきた。燃料や暖房器具、毛布、また子供向けにコートやソックス、靴、帽子などの冬用衣服が含まれる。
ニャマンディ氏は、「バルフ州のような場所でキャンプ生活を余儀なくされることは、子供にとって希望の見えない状況です。北部にあるこの州の気温はすでにとても低く、夜にはマイナス10度まで下がります。しかも、3月にかけていっそう寒くなっていくのです。アフガニスタンの冬は、数千人の子供たちにとって生き延びるのに過酷な気候なのです」と話す。
カタールではタリバンとアフガニスタン政府の交渉役が対話を行い、数十年続いた戦争に終止符を打つべく和平合意を成立させようとしている。しかし一方で、アフガニスタン国内での暴力は拡大している。
報告書には、ロヒナさん(12)が紹介されている。バルフ州北部にある、家を追われた人々が暮らすキャンプに住み、セーブ・ザ・チルドレンが支援する地域社会に根差した教育施設で授業に参加している。
ロヒナさんは、「私たちは貧しく、野宿をして暮らしています。私も兄弟も、夜は寒さのために眠ることができません。このような状況で、一体どうして勉強ができるのでしょうか」と話す。
首都カブール北部にあるキャンプでは、そこで暮らす700世帯以上の多くが故郷での暴力から逃れてきた。周りにあるごみを焼くことで、家族で暖を取ったり料理を作ったりしている。
キャンプで暮らすモハマド・ダッドさん(10)は、「ここは、夜も朝も寒いです。木材も炭もありません。私たちは毛布をもっていないため、暖かくするためにプラスチックを燃やして火を起こしています」と話す。
モハマドさんの祖母ライハンさん(50)は息子家族と7人、キャンプで暮らす。廃棄プラスチックから火を起こしても、たいして暖かくはならないと話す。ライハンさんは、「子供たちの体調はとても悪いです。夜から朝にかけて咳込んでいます」と言う。
By RAHIM FAIEZ Associated Press
Translated by Mana Ishizuki