マスク反対派の正体 仏調査で明らかになった意外な人物像
◆浮かび上がるのは意外な人物像
そこまで強硬にマスク着用を拒む人々は、いったいどういう信念のもとに行動しているのだろうか? それを明らかにしようと、SNS上に12ほど存在するフランスのマスク反対派グループの参加者にアンケート調査を実施したのが、グルノーブルの社会学研究者アントワヌ・ブリスティエル准教授だ。ジャン・ジョレス財団サイトに9月7日発表された報告書によれば、同氏は8月10日~19日の9日間で1000人以上の反マスク派らから返答を得たという。
結論からいえば、この研究から浮かび上がる人物像は、少々意外なものと言わざるを得ない。まず「63%が女性」。一般的に男性よりも慎重だと思われる女性が過半数を占めている。次に「平均年齢は50歳」。これも、予想より高い年齢層だと感じる人が多いのではないだろうか。学歴は「バカロレア(高校卒業試験)+2年」と比較的高めで、職業は「管理職以上が36%」を占める。フランス人全体に占める管理職以上の割合が18%であることを考えると、その多さがわかる。政治的には「保守派が29%」と最も高いが、「マクロン大統領を信頼するのは2%」「カステックス首相を信頼するのも3%」と極端に低い。
そのほか目立つのはポピュリズムとリベラリズムの傾向。また、陰謀論を信じる者が多く、新聞やテレビなどのメディアよりも、フェイスブックなどSNS上の情報に重きを置くという特徴だ。これらの点を、下にもう少し詳しく見てみよう。
◆反マスク派がマスク着用に反対する4つの理由
まず、報告書によれば、反マスク派がマスク着用に反対する理由は次の四つにまとめることができる。第一に「マスクには意味がない」というもの。つまり、ウイルスを妨げる役目を持たないという考えである。二つ目は「一つ目をさらに強固にした意見で、マスクは意味がないだけではなく、危険である」というものだ。その理由には「十分な酸素を妨げ、バクテリアの巣窟を形成する」ことを挙げる。ここまでは、「マスクの医療機能について」の疑いだが、三つ目になると「疫病自体について」の疑いが理由となる。曰く、「疫病はもうすでに終息している。あるいは、最初から存在しなかった。各国政府は、我々に嘘をついている」というものだ。四つ目の理由は三つ目を発展させたもので、「マスク着用義務化の目的は、国民の自由を奪い奴隷化すること」にあるというものだ。