スコットランド独立問題がコロナで再燃 対策できないイングランドに不信感
◆コロナで支持率アップ 独立に近づいた?
支持率を下げているジョンソン首相とは対照的に、冷静な対応で感染を抑え込んだスタージョン氏のスコットランドでの支持率は上昇している。アルジャジーラは、コロナ以前からスコットランドはロンドンの保守党政治に対して不信感があり、公共支出の過激な削減、残忍ともいえる福祉制度の改革、これまでにない国境管理の厳格化などによって、ここ十年で増大していたと述べる。そこにジョンソン首相の誕生で不信は決定的となり、新型コロナが触媒となって愛国的な人々が増加したと指摘している。
スタージョン氏が党首であるスコットランド国民党(SNP)は、スコットランドの独立とEU回帰を主張している。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)によれば、最近の世論調査では55%のスコットランド人が独立を支持しているという。コロナにおいて、ジョンソン首相とEU離脱を支持する閣僚たちよりも、SNPのほうが危機対応に優れていたと認識していることの表れだと述べている。アルジャジーラは、来年5月のスコットランド議会選挙ではSNPは間違いなく過半数を取ると見ており、2014年の国民投票で否決されたものの、独立に向けた再度の国民投票に向けて動くだろうとしている。
◆存在感ある小国へ 自立できるかは疑問
独立の機運は高まるが、小さなスコットランドが独立してやっていけるかという疑問もある。スコットランドのスコッツマン紙に寄稿したSNPのケニー・マクアスキル議員は、アイルランド型を目指せと主張している。しかし現在のイギリスの国際社会における存在感は、ブレグジットなどの影響で低下している。小国の隣国アイルランドは、国連やEU内で要職を務め、着々とその国際的地位を固めており、同じケルト系の兄弟分として、独立後の手本にすべきだと述べている。
一方、英下院院内総務のジェイコブ・リーズ=モッグ氏は、スコットランド経済は石油に依存しており、もし2014年に独立していれば、今回のコロナ危機で破産していただろうという考えを示した。英政府は一貫して2回目の国民投票を否定しており、いまは再度の投票をする時期にないことを、この発言で示唆した(ニュー・ヨーロピアン紙)。
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