米、失業者の特別補助金が今月で終了 新型コロナ感染拡大続くなか

Ted S. Warren / AP Photo

◆アリゾナ州では再びロックダウン
 現在は新型コロナウイルスが原因の失業者に対し、連邦政府から週600ドルの補助金が支給されているため、通常の失業保険支給額の倍以上を受け取っていることになる。民主党が過半数を占める米下院ではこの補助金支給を2021年1月まで延期する案を盛り込んだ「ヒーローズ・アクト(HEROES Act)」が可決したものの、共和党が過半数を占める上院では補助金支給が失業者の労働意欲を削いでいるとして、7月31日以降は補助金支給を継続しない方向に動いている。

 共和党の懸念にも一理あるが、しかしアメリカの労働市場は新型コロナウイルス以前に戻ったわけではないうえ、大多数の家庭では失業すると健康保険も自腹で払わなければならなくなる。ABCニュースによると、アメリカの6月の失業率は11.1%と、4月よりはかなり改善したもののいまだに高い。しかも多くの州では感染拡大が止まっていない。アリゾナ州のニュースサイト『azセントラル』によると、累計感染者数が10万人を超えた同州では6月29日、ダグ・デューシー知事がジム、映画館、バー、ウォーターパークを30日間閉鎖するロックダウンを再び敢行した。

 このような状態では失業者が仕事を探そうにも困難な場合が多いだろう。少額の失業保険だけでは暮らしていけないアメリカ人が多いなか、7月31日の特別補助金失効前に連邦政府または各州政府が何らかの救済措置を行うことが期待される。

Text by 川島 実佳