米でも爆発 抗議デモの根底にある若者の不満・怒り
米国ミネアポリス市で5月25日、黒人男性が白人警察官に逮捕された際、窒息死したことをきっかけに、警察に対する大規模な抗議デモが全米各地で広がっている。暴動や略奪行為、衝突などによって多くの逮捕者、死傷者が出ており、抗議デモは英国やドイツなど欧州にも広がっている。白人と黒人の衝突は米国では長年の歴史があるが、これほどまでに規模が拡大したのは、おそらく黒人の自由・権利の拡大を訴えてきたキング牧師が殺害された1968年以来のことだろう。背景には何があるのか。
◆根底にある経済的不満・怒り
まず、重要なのは、5月25日の事件によって白人VS黒人という対立構図が先鋭化していないということだ。各地の抗議デモや暴動をみていると、警察官に抗議する多くの白人市民の姿があるだけでなく、負傷した白人警察官を黒人市民たちが助けるシーンもSNS上では見られる。また、新型コロナウイルスによって誹謗中傷の標的にされるアジア系、ヒスパニック系の住民も多く参加している。
デモ参加者たちは、ミネアポリスで5月25日に発生した事件に単に抗議しているのではない。それよりも、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う失業・雇用悪化など、積もりに積もった市民の経済的不満や怒りが同事件をきっかけに一気に爆発したのである。米労働省は5月31日、新型コロナウイルスの影響で初めて失業保険を申請した労働者が4000万人を超え、全労働者の4分の1に達していると発表した。ミネアポリスがあるミネソタ州の知事も、もはや抗議デモは同事件と関係がないものになっていると主張している。
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