対策ワースト州が経済再開 米の新型コロナ対策、州により大差

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◆ネブラスカ州、現在の感染状況と今後の経済再開予定
 一方、人口190万人で感染対策ワースト1位となった中西部ネブラスカ州では、WalletHubの調査によると、ハワイのようなロックダウンおよび行動規制はほとんど行われていない。USAトゥデイ(電子版)によると、同州は全米でロックダウンに関する正式な法を発動していない数州の一つだという。同州保健厚生局のウェブサイトでは、家にいることや10人以上で集まらないこと、家でエクササイズをすることなどの「ルール」が推奨されているが、推奨だけではなかなか順守できないのが人間の心理というものだろう。

 同局ウェブサイトによると、同州では5月8日時点の総感染者数が7,190人、死者が90人。それ以上の詳細は記載がなく、回復者と現在の患者数はわからない。中西部の同州は農業中心で人口が少ないことからニューヨーク州などと比較すれば感染者数は少ないが、ハワイ州と比較すると10倍以上だ。

 同州では規制によりこれまでレストラン内での飲食や美容院、タトゥー(入れ墨)店の営業などが一時的に規制されたが、感染者数が減少傾向になっていないのにもかかわらず、同州最大の都市オマハでは5月4日から店内に入れる人数やウェイターのマスク着用など制限つきでこれらの規制が緩和された。また州都リンカーンでも5月10日からは同様に営業再開を許可される。

 このように、アメリカでは同じ国内でも州により感染者増減の傾向や各州政府の感染拡大予防対策が大きく異なっている。ハワイ州では感染者数が他州に比べて少ないが、完全に経済を再開して再び観光客を迎え入れるとなれば、状況が悪化する可能性が高い。経済再開ムードが高まっているアメリカだが、第二次感染拡大が発生しないよう、今後の状況を注意深く見守る必要がある。

Text by 川島 実佳