対策ワースト州が経済再開 米の新型コロナ対策、州により大差
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。アメリカは3月半ばから急激に感染者数が増え、ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると5月11日午前11時32分時点の感染者数は132万9260人となっている。アメリカ国内では感染予防対策および感染者数には州ごとに大きな差が生まれている。なかには感染者数が大幅に減り、ロックダウン解除に近づいている州もあるものの、一方で感染者数に減少傾向がないのに州内の経済再開を急いでいる州もある。
米経済情報サイト『WalletHub』では、全米50州を対象に、リテールや公園、スーパー、交通、オフィス、住居の6ヶ所における各州の新型コロナウイルス感染予防策を比較。同サイトの統計によるとによると、感染拡大予防策を積極的に実施しているのはハワイ州、次いでニューヨーク州、ニュージャージー州という順になった。
反対に実施していないワースト3州は50位がネブラスカ州、49位がカンザス州、そして48位がアーカンソー州という結果だった。ちなみに、このワースト順位は50~31位までが、激戦州のオハイオ州とウィスコンシン州を除きすべて共和党勢力が強い州である。今回はベスト州とワースト州の今後の経済再開計画について比較する。
◆ハワイ州、現在の感染状況と今後の経済再開予定
ハワイ州保健衛生局によると、全米で最も新型コロナ感染対策が厳格に行われている同州では5月10日午後12時時点の総感染者数が632人(うち州外で感染した州民が11人)。入院治療を要したのはそのうち81人と約13%で、死者は17人、回復者は561人となっている。ちなみに、ハワイ州の人口は約140万人である。
筆者も居住する同州では3月25日から州全体で外出禁止令が発令されており、「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる必需労働者以外はすべて自宅待機あるいは自宅勤務を強いられている。4月末までは市立、州立、そして国立公園がすべて閉鎖され、州民も食品や日用品のショッピング、医療機関、近所でのエクササイズなど必要最低限の外出や10人以上のグループによる集会は禁じられ、学校もすべて休校になっていた。外出禁止令は当初4月30日で終了する予定だったが延期され、5月31日まで継続される。しかし感染者数が減ったことから段階を経て地元経済を再開する計画が発表され、まず公園が開放されたほか、5月5日にはイゲ州知事がハワイ州内のショッピングモールを7日より再開することを許可した。
ハワイでは州内の生活や経済活動が再開されても、基幹産業である観光産業はしばらく休止状態になるものと思われる。現在、ハワイに来る人は住民であれ観光客であれ、到着後14日間の自主隔離が定められており、その期間中は買い物にも出られず自宅または宿泊施設に完全に引きこもっていなければならない。この自主隔離は発着空港で新型コロナウイルスの簡易テストが実施されるようになるまでは続く可能性が高い。
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