ドイツのコロナ対応、なぜ称賛されるのか? ビル・ゲイツも認める危機管理

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◆コロナ感染終息に近道はない
 フランクフルターアルゲマイネ紙は4月27日、ビル・ゲイツ氏とのインビュー記事を掲載した。これによると、ゲイツ氏は「トランプ米大統領のコロナ対応は明晰な政策が見当たらない。また、世界が一丸となってコロナ禍をどのように乗り切るか、(かつて米国はこのような災害におけるイニシアティブをとっていたが)自国の利点を先行する『アメリカファースト』政策ばかりだ」と非難した。

「新型コロナウイルスの感染を抑止するのは容易なことではない。他人と距離を置いたり、マスクを着用しても感染を絶ち切ることはできない。コロナ感染の終息に近道はない。米国でコロナ感染が発生した時点で、早期から検査を、多くの市民を対象に行うべきだった。だが、米政府は検査を優先しなかった。その結果爆発的な感染者と犠牲者を出し、過去に例を見ない膨大なシャットダウンとなった。コロナ危機に立ち向かう唯一のツールは、まず感染者を減らすことだ」とゲイツ氏。

「トランプ政権は感染抑止を優先せず、シャットダウン緩和の出口を探り、すでに経済再建に目を向けているが、この対応には大変驚いた。タトゥー店をいつ再開するかよりも、学校をいつ再開するかを優先リストの上位にすべきだ」と辛辣な批判を発する。さらに同氏は、トランプ氏の世界保健機関(WHO)への資金拠出停止についても強く抗議した。

「デンマークやオーストリア、そしてドイツは人命と経済、そして社会福祉のバランスを慎重に検討しており、何を優先するかも明確で素晴らしい。なかでもメルケル首相は、一国を率いる首脳として大局的な視野に立ち、ぶれない対策を講じている」と称賛した。

 アメリカの政界やメディア間では、コロナパンデミが深刻になるにつれて、メルケル首相のコロナ対応のかじ取りに耳目を集めている。そして冷静な判断と明瞭な政策方針を打ち出すメルケル首相を支持するメルケルマニアが増えているという(新聞社グループ「RedaktionsNetzwerk Deutschland(RND)」)。

Text by noriko spitznagel