ロックダウン緩和に動く各国 「第2波招く」と警戒論も
◆経済重視か再燃防止か、分かれるドイツの見方
欧州で最もコロナ対策で成功しているドイツでは、規制緩和に対する意見が分かれているとサイエンス誌は報じている。すでに一部の店舗や学校が再開しているが、メルケル首相は緩和を推し進めることはギャンブルになりかねないと慎重だ。もっとも、封鎖解除については、各州の首長の判断となる。
コロナ対策の成功で、一部の首長からは規制は正当化されるのかという議論が出ているという。彼らは経済を犠牲にできないとし、段階的に様子を見て解除していけばいいという考えだが、メルケル首相、著名なウイルス学者のクリスチャン・ドロステン氏、ロベルト・コッホ研究所は、ウイルスが「枯れる」まで規制を続けるべきという考えだ(サイエンス誌)。
ドロステン氏は、感染者数は減ったとはいえ、ウイルスは国中に拡散したとし、再燃すれば次の封鎖は避けられないとしている。接触者追跡を続ければ大丈夫だという声もあるが、現在の感染者数では見逃しなく行うことは無理だと述べる。もう数週間待てば、対応できるレベルに低下し、接触者追跡を補助するアプリ開発のための時間稼ぎもできると主張している。ドイツのガンゲルトという町で行われた抗体検査で、14%が抗体を持っていたという結果から、集団免疫ができつつある、本当の致死率は高くない、という楽観論も出てきており、ドロステン氏は州が間違った選択をすることを恐れている(同上)。
◆英は緩和に慎重 米は経済優先か?
早期緩和の声が高まるイギリスでは、ジョンソン首相がロックダウンは続けるべきだと主張している。適当な時期に透明性を持って内容は発表するとしているが、ラーブ外相は、店や職場では社会的距離を保ち、建物内のレイアウトなども変更する必要があるとし、国民は「ニューノーマル」に適応する必要があるという考えを示した(スカイニュース)。
アメリカは十数州が経済再生を目的に、ソーシャルディスタンシング規制を緩めることを発表している。テネシー州では4月27日にレストランなどの再開をしたが、前日には最高の感染者増を記録している(地元紙テネシアン)。アメリカ全土では感染者数の増加は続いている。州知事のなかには、早期の緩和が第2波を招き、すでに打ちのめされている米経済にさらなるダメージを与えるのではないかという声も出ている(USAトゥデイ紙)。
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