コロナ下の安全な国ランキング、日本9位 海外調査
♦︎クラスターの隔離戦略でリードか
新型コロナウイルスに対して世界で9番目に安全な国と評価された日本だが、どのような理由でそのような評定に至ったのだろうか。DKGは各評価項目の平均値を公表していないため、評価項目ごとに世界に対する優劣を判断することは難しい。そこで、一つの指標として、地理的に近くランキング3位となった韓国と比較してみよう。
安全性に関する日本の総合スコアは623.19であり、韓国は628.17となっている。スコアを構成する4つの評価軸のうち「隔離の効率性」「モニタリングと検出」では韓国を僅差で上回っており、かなり高い水準の評価を得ていることがわかる。評価軸を構成する小項目では、「違反への処罰」「渡航制限」「診断方法の種類」「テスト結果の早さ」「診断と予測へのAI活用」で韓国をわずかにリードした。
一方で「政府の対応の効率性」「緊急治療の準備状況」ではスコアを落としている。両者を細分化した12の小項目のうち、「安全と防衛の発展レベル」「行政テクノロジーのレベル」「迅速な非常時動員」「人工呼吸器の備蓄」「病床数」「迅速な設備生産のためのインフラ」「医療リソースの最適化」など8項目において韓国に及ばなかった。クラスターを特定し隔離する戦略が高い安全性スコアにつながった一方、柔軟で迅速な対応を実施できていない点に改善の余地があるものと見られる。
ただし、日本への評価は総じて良好だ。DKGは本ランキング以外の番付も公表しており、アジア環太平洋地域に限った安全性ランクで日本は7位となり、「ハイレベル」の安全性が確保されているとの評価を受けている。また、「最も支援の姿勢を示している政府ランキング」では3位となった。初動の遅れやマスク配布をめぐり国内では批判もあるが、世界と比較した場合において比較的良好な対応ができているという結果となった。スコア付けの詳細は開示されていないが、欧米流の強制力を伴うロックダウンなしに持ちこたえている点や、指定感染症として公費で医療を提供している点などが評価された可能性がある。
♦︎ほかの安全性上位国は?
安全性ランクに話を戻すと、最も安全な国はイスラエルとなっている。同国の強みは政府の迅速な対応にあったようだ。「政府の対応の効率性」の評価軸で205.38点を取得し、日本の179.28点と目立った開きがある。「隔離の効率性」の評価軸でも日本を上回った。
ほかの国で気になるのは、新型コロナウイルスの発生源と見られる中国が5位につけている点だ。DKGは米フォーブス誌への寄稿記事のなかで、非常体制の迅速な構築が高スコアにつながったと説明している。コロナウイルス患者が武漢で急増すると、中国政府は大規模な病院を急造して患者を収容した。このほか、AIなど先端技術の導入や、ノルウェーに次いで世界で2番目に大きな予算を投入した点も評価されている。
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