「時間がない」全土封鎖に踏み切ったイタリア 北部3州から範囲拡大
◆中国式封鎖採用 民主主義国では初
感染を食い止めるため、イタリアはまず1600万人が住むロンバルディア州と周辺14県の封鎖を決定した。3月8日から4月3日までの措置で、緊急事態を除き、指定地域から出ることはできない。規則を破ったものは、罰金と禁錮3ヶ月以下の対象となる。
すでに学校や大学はイタリア全土で閉鎖されているが、封鎖対象地域では映画館、美術館、劇場、ジム、プール、スキー場などがすべて閉鎖となった。バーやレストランは午前6時から午後6時まで営業可能。店舗では客は少なくとも1メートルは隣の人から離れる必要がある。冠婚葬祭も禁止となり、公共交通機関は封鎖地域内のみで利用可能とされた。
ビタ-サルーテ・サン・ラファエレ大学の微生物・ウイルス学者、ロベルト・ブリオーニ教授は、ウイルスの拡散を止めるためにはライフスタイルを犠牲にする必要があるとし、いま最も大事なことは皆が家に籠ることだと話す。不要な他者との接触は避けるべきで、皆が責任を持って行動しなければならないとする。中国が厳格な行いで結果を出したのにならい、同じことをする必要があると述べている(ガーディアン紙)。
◆脱出者で北部混乱 南部からは冷たい目
ガーディアン紙によれば、北部封鎖の決定は関係者のだれかによってマスコミにリークされたという。7日の午後に日刊紙コリエーレ・デラ・セーラが報じたことから、封鎖前に脱出しようとした人々で駅や道路が混乱した。ブリオーニ教授は、人々が脱出することで、封鎖措置によって達成しようとしていることに逆の影響が出てしまうとして、脱出者を通して他地域に感染が飛び火することを懸念している。
ロイターによれば、南東部プーリア州の知事が、北部の脱出者に対し、「最初の駅で電車を降りて、飛行機にも乗らないで。車はUターンして、バスから降りて。ロンバルディア、ベネト、エミリアロマーニャの地域感染をプーリアに持ち込まないで」とフェイスブックで懇願したという。
イタリアでは過去15年間に、推定200万人が開発の進まない南部を去って、良い仕事のある北部に移住した。その彼らが、感染を避けるために大挙して帰郷するのは都合が良すぎるというわけで、プーリアを含む南部5州は、北部のレッドゾーンから来る人々には2週間の自主隔離を命じる声明を出している。この5州での感染の報告はわずか100件で、死者も2名のみだ(ロイター)。
医療関係者からは、北部のロンバルディア州が大苦戦しているのだから医療従事者や設備の少ない南部に感染が広がれば大変なことになる、という声も聞かれる(アルジャジーラ)。これを意識したのか、政府は10日にイタリア全土での移動禁止を発表した。BBCによれば、規制は先に北部で出されたものと類似のものになるという。コンテ首相は、テレビ演説で「もう時間はない」と述べ、厳しい規制への国民の協力を求めた。
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