「時間がない」全土封鎖に踏み切ったイタリア 北部3州から範囲拡大

Antonio Calanni / AP Photo

 イタリアの新型コロナウイルス感染の拡大が深刻化しており、すでに感染者は9172人となった。死者も463人となり、中国以外では最も多くなっている(3月10日現在)。イタリア政府は8日、北部ロンバルディア州と周辺地域を対象に移動制限を行うことを決定。さらに10日には全土での移動禁止を発表した。

◆北部に感染集中 医療崩壊の懸念も
 イタリアでの最初の感染者は、北部のコドーニョの病院で2月20日に確認された。以来、イタリアはウイルスの封じ込めに苦戦している。集団感染が発生する1ヶ月前から保健省は特別チームを編成し、すべての中国発着便の運航を停止させた。それでも北部を中心に感染は拡大しており、ロンバルディア、エミリアロマーニャ、ベネト州に感染者の85%、死者の90%以上が集中している(ガーディアン紙)。

 被害が拡大した一因として、コドーニョの病院内で患者のみならず医療関係者にまで感染が広がったことが指摘されている。イタリアではすでに4万2000件以上の検査を実施しており、欧州でも感染数が突出している。現在、ロンバルディア州の病院の集中治療室のベッドは95%がいっぱいで、収容能力が限界に達することが心配されている(アルジャジーラ)。

Text by 山川 真智子