サウジ女性、男性後見人の許可なしでホテルに泊まれるように
サウジアラビア観光当局は10月6日、超保守的なイスラム教王国である同国を旅行する女性に対する規制の一部緩和を発表し、男性後見人のいない女性にもホテルへの宿泊を許可することや、結婚証明書がなくても外国人の男女が同じ部屋に宿泊することを認めることを定めたガイドラインを提示した。
サウジアラビア政府は、外国人観光客を呼び込み、石油依存型の経済を多様化させる取り組みを進めている。その一環として初の観光ビザ発給に乗り出したことを受け、今回の社会的交流に関する規制緩和が実現した。
サウジアラビア観光・遺産委員会は6日、新たな規制内容をツイッターに投稿し、同国の日刊紙オカーズが4日に報道した内容を認めた。
観光・遺産委員会は、身分証明書を提示すれば女性がホテルに宿泊することを許可するとしている。サウジ女性の場合はIDカード、国内に居住する外国人の場合は居住証明カード、観光客の場合はパスポートが身分証明書として認められる。外国人カップルについても同様に、身分証明書の提示が義務付けられるが、結婚証明書は必要ない。規制緩和以前、女性がホテルの部屋を利用したい場合は、男性後見人の許可が必要とされていた。
さらに同委員会によると、身分証明書を所有する男性後見人が同伴していれば、女性のホテル利用には一切の身分証明が不要となる。
規制緩和に向けた動きは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子による昨年の大改革とともに始まった。この改革により、サウジアラビア国内における映画館の運営禁止が解除されるとともに、世界で唯一禁止していた女性の自動車運転も許可されることとなった。
しかし、イスタンブールのサウジアラビア領事館で昨年発生したジャーナリストのジャマル・カショギ氏殺害事件や、女性の権利を訴える複数名の活動家を拘束の上拷問したという報道もあったことから、この改革には限界があるという批判の声も上がっている。
サウジアラビアは先週、観光ビザの発給を発表したが、その目的は観光客を誘致し、国内総生産を現在の3%から10%に引き上げることだとしている。新たな試みである観光ビザの発給にあたり、同国は5つのユネスコ世界遺産や、現代アートの展示、そして紅海、砂漠地帯、山岳地帯などの自然を大々的に宣伝した。
これまでは、イスラム教の聖地巡礼、家族の訪問、ビジネスといった所定の理由がある場合にのみ訪問者ビザが発給されていた。
有効期限1年のマルチプルビザは、1回最長90日間の滞在を許可するもので、サウジアラビアが観光目的のみでの外国人の訪問を許可するのはこれが初めて。
49の有資格国の市民は、インターネットで発給手続きを行うか、サウジアラビア到着時にも申請ができる。その他の国の市民は、最寄りのサウジアラビア大使館または領事館での手続きが必要となる。
サウジアラビアは外国人観光客誘致に向けた取り組みの一環として、女性観光客に課していた厳しい服装規定を緩和している。ビザの案内サイトに掲載されているガイドラインによると、公共の場では肩と膝を覆う必要があるが、全身を覆うアバヤの着用は義務付けない。
By ELENA BECATOROS Associated Press
Translated by t.sato via Conyac