中国プライドの三峡ダム崩壊? 政府は噂否定も、住民不安
◆住民は不安、納得できなくても何も言えず
多くのメディアが現時点で三峡ダム崩壊説を深刻に受け止めてはいない。三峡ダム建設に関わったある中国人エンジニアも、ダム崩壊は考えにくいとしながらも、問題は政府に対する国民の信頼の欠如だとRFAに話している。ソーシャルメディア上でも、「政府はよく嘘をつく」「一般人にはどうなっているのかわからない」といった意見もあるという。ダムの下流には7億人が生活しており、だれもが政府の言葉を信じているわけではないとRFAは述べる。
香港大学のジャーナリズム&メディア研究センターと提携するチャイナ・メディア・プロジェクト(CMP)は、三峡ダムは中国のナショナリズムにとって象徴的に重要であり、長年にわたって公の場での議論は厳しく検閲されてきたと述べる。そのため1980年代の建設開始以来、環境や人間への影響に関する議論は、どの時点でも不可能だったとしている(RFA)。
中国の地質学者で、長らく巨大ダムプロジェクトに反対してきたFan Xiao氏も、今回の噂は、三峡ダムプロジェクトについての議論の不足の反映だとし、今やダムは「国宝」であり、誰も批判できなくなってしまっていると述べている(ロイター)。
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