中国・武漢で抗議デモ、警察と衝突 環境問題が「時限爆弾」に?
◆住民デモに警察出動 ニュースはSNSで拡散
約40万人の地元住民が廃棄発電所計画を知らされたのは6月の半ばだった。すぐに反対の嘆願運動が始まったが、地元政府は20人の嘆願者を拘束という対応に出た(RFA)。
その後、6月28日には市役所の外で約1万人の住民による抗議活動が行われ、1000人規模の機動隊が出動。デモに参加した人々に対し暴力を振るうシーンが撮影され、デモに関する投稿やビデオが中国版ツイッター「微博」で拡散された。早速検閲が入ったが、3日間でこの話題が2億3100万人以上の微博ユーザーに閲覧されたという。厳しい取り締まりにもかかわらず、7月3日と4日には再び1万人の市民が街頭デモを行った。4日の夜には1万人の警官と装甲車が少なくとも1台は出動しており、夜間外出禁止令も出た。多くの逮捕者も出たが、その数は不明だという(労働者階級のための政治サイト『 Chinaworker.info』)。
◆環境問題が引き金に? 共産党に危機感
住民の抗議を受けて、地元政府は住民の同意なしに発電所計画を進めることはないと発表した。しかし、同様の譲歩があったほかの地域では、結局トップの異動に伴う方針転換などで施設の建設が始まっているとし、地元住民は政府を信用していないということだ(RFA)。
Chinaworker.infoは、中国の大規模抗議活動の3分の1は環境汚染関連とされており、習近平政権にとっては厳しい時代だと指摘。環境問題が権力を維持する独裁政権への挑戦という「時限爆弾」の一つになりそうだと見ている。
さらに、中国共産党は労働者や学生、拡大するフェミニスト運動、そして環境への意識の高い都市部の人々による抗議が、香港の抗議デモから勇気やインスピレーションを受けることを恐れているとも述べる。わずかながらも、政府のファイアウォールをかいくぐって香港で起こっていることを知る、政治に関心のある若者もいるという。武漢のデモ参加者のなかにも香港支持を表明する者がいたということで、次に起こることを予感させる小さな印だとしている。
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