中国・武漢で抗議デモ、警察と衝突 環境問題が「時限爆弾」に?

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 香港では香港政府と中国に対する不満が市民をデモに向かわせているが、中国内陸部の武漢市でも、住民たちが新たなゴミ焼却場の建設に反対しデモで戦っている。警察の出動や市民の拘束などがネットで報告されており、デモが拡大する前に抑え込もうという中国政府の意図がうかがえる。近年環境問題をめぐる国民の不満は高まっており、新たな発火点となる可能性もある。

◆悪臭漂う住宅街 ゴミ問題が市民生活に影響
 街頭デモを行ったのは、武漢市の新洲区陽邏住宅地区の住人たちだ。ディプロマット誌に寄稿した元武漢軽工大学教員のケンドラ・ブロック氏によれば、都市化して人口の増えた同市はゴミ問題が深刻だという。陽邏にあるゴミの埋め立て地からは悪臭が漂い、市には以前から苦情が寄せられていた。空気は悪く、地下水の汚染も10年以上前から始まっていたと、地元住民はラジオ・フリー・アジア(RFA)に語っている。

 問題解決のため持ち上がったのが、すでにゴミでいっぱいになった埋め立て地の一つ陳家中村に、可燃ごみを焼却して発電する廃棄発電所を建設する案だった。行政側は、それまで住人には数年後には公園を建設すると説明していたため、突然の廃棄発電所建設の発表に住民は驚いてしまった(ロサンゼルス・タイムズ紙)。ブロック氏によれば、廃棄発電所にすればメタンガスの発生は軽減されるが、大気汚染物質の排出がきわめて高いということだ。こういった施設は通常は最低でも1.5キロは住宅地から離れて建設されることになっているが、建設場所から800メートルのところに住む住人もおり、不安は高まっていたようだ。

Text by 山川 真智子