ヘンリー王子夫妻の赤ちゃん、英王室に変革をもたらすか

AP Photo / Frank Augstein

 歴代の建国の父たちはどのように思うだろう? アメリカがイギリス王室からの独立を目指し、革命が勃発してからおよそ250年後、もうすぐ生まれる王室ベビーはアメリカ人になるかもしれない。

 かつてのイギリス植民地の子孫が、女王エリザベス2世の継承順位7番目となる。このことがイギリス王室を内部から変革し、君主制の人気の急上昇に追い風となる可能性を秘めている。

 1年前に成婚したヘンリー王子とメーガン妃の赤ちゃんが、まもなく誕生する予定だ。イギリスを象徴する王子である父と、白人の父とアフリカ系アメリカ人の母を持ち、テレビ界スターの階段を自力で上った極めて典型的なアメリカ人女性である母の間に生まれる新生児は、2つの文化を背景に持つことが誕生前から知られている。

 この子が王や女王になる可能性は低い。しかし、まさにメーガン妃がイギリス王室入りし、威厳を誇りながらも時に古風でもあるウィンザー朝に近代化の新風を吹き込んだように、二重国籍の取得を選ぶ権利のあるアメリカ人ハーフの子供が生まれることは、王室に改革をもたらすだろう。

 王室解説者であるヒューゴ・ヴィッカース氏は、「この子は多分にアメリカの影響を強く受ける可能性が強い。イギリス王室は、このようなことにまったく不慣れというわけではない。かつて王家の子供たちは、ギリシャ人の母親やドイツ人の母親から生まれたことは明らかだ。しかし、メーガン妃は、非常に王室に近い初のアメリカ人の母親だ」と語る。

 メーガン妃は、出産の準備に関して従来のイギリス王室のならわしに従っていない。ハリー王子の兄、ウィリアム王子とその妻、キャサリン妃の場合とは異なり、ハリー王子とメーガン妃は、数週間後に控えた出産に対するメディアの関心が高いにもかかわらず、あるいは、高いからこそ、出産と育児に関する詳細を公開しないと決めている。

 公爵夫妻は、どこで出産する予定なのかも明らかにしていない。ウィリアム王子とキャサリン妃の3人の子供たち、ジョージ王子、シャーロット王女、およびルイ王子が誕生した時のように、メディアが病院の外で24時間365日常に張り込んで夫妻の取材を行うことはないだろう。

 したがって、赤ちゃんが生まれた数時間後、新生児を腕に抱え、病院の外で幸せあふれる夫妻が微笑む完璧な写真を期待しないほうがよい。ハリー王子とメーガン妃はかつて、赤ちゃんが生まれたらまず自分の親族と私的に祝福の場を設けた後に、新生児の誕生を一般公開したいと語ったことがある。

 王室の主要なイベント取材の演出に手慣れている当局者は、ハリー王子とメーガン妃がインスタグラムで新生児誕生を発表し、一般大衆に向けて初めて赤ちゃんの写真をお披露目するのかもしれないと心配している。

 ウィリアム王子が将来、次にイギリス王位に就く予定である70歳のチャールズ皇太子を継いで国王となる可能性が高いため、ハリー王子は、ウィリアム王子ほどは王室の慣習に従うべきであるとする圧力にさらされていない。

 そして、ウィリアム王子の子供たちに万が一の悲劇が続けて起きない限り、ハリー王子とメーガン妃の間に生まれる新生児が国王の座に就くことはなく、祖先にアメリカ人を持つことにさしたる重圧もない。

 また、メディアがメーガン妃はナニーとしてアメリカ人を選ぶだろうと推測するのも無理はない。メリー・ポピンズもびっくり仰天だろう。さらに、男性にこの重要なナニーの役割を担ってもらう可能性もあるという。そして、メーガン妃は、子供のためにイギリスとアメリカの両国が認める二重国籍の取得にこだわっていると確信する人々もいる。
 
 イギリス王室専門雑誌のマジェスティの編集長、ジョー・リトル氏は、君主制の伝統が形を変えながら進化していくことに反対を唱える人はいないと語る。

 リトル氏は、「我らの王室は、他のヨーロッパの王家と同様、もはや王室の血縁内で婚姻関係を結ばなくなっているため、このような状況は必然だ。そして多くの人々はこの事態を歓迎している」と述べている。

By GREGORY KATZ Associated Press
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Text by AP